『TOTEモデル』で人材育成を変革! 何度もチャレンジできる職場環境を作り、成長を支援する
ざっくりのあらすじ
1. TOTEモデルは、Test(テスト)Operate(操作)Test(再テスト)Exit(終了)の4つのステップで構成されている
2. TOTEモデルは、目標達成の状況を常にチェックしながら、達成されていない場合は作業を行い、再度確認するというサイクルを繰り返す
3. TOTEモデルは、インストラクショナルデザインの重要な概念の一つであり、教育だけでなく様々な分野で活用されている
4. TOTEモデルを活用することで、「何度もチャレンジすることを良しとする」企業文化の醸成にもつながる
かの発明家トーマス・エジソンはこんな言葉を残しました。
私は失敗していない。「これではうまくいかない」10,000通りのやり方を見つけただけだ。
この有名なエジソンの言葉は、失敗を恐れずに何度もチャレンジすることの重要性を端的に表しています。あなたの会社では、エジソンが何度もチャレンジしたように、「何度もチャレンジすることをよしとする企業文化」はありますか。どうすれば社員が自信を持って挑戦できる環境を作れるのでしょうか?
本記事では、人材育成の理論である「TOTEモデル」を活用して、チャレンジを推奨する企業文化を築き、人材育成を変革するヒントをご紹介します。
TOTEモデルとは?
TOTEモデルは、インストラクショナルデザインでも活用される重要な概念の一つで、人材育成の鍵となる理論です。ある特定のゴールをめざして進む時に、常にゴールに達したかどうかをチェックしながら作業を進めることを図式化したモデルです。
ご参考:
インストラクショナルデザイン ~教え方にはルールがある!?~
育成や学習がうまくいかないのは「目標に問題アリ」かも!?
TOTEモデルの学習や課題解決のプロセスを以下の4つのステップで説明します。
Test(テスト):目標達成の状況を確認
Operate(操作):目標に向けて行動
Test(再テスト):再度、達成状況を確認
Exit(終了):目標達成で終了、未達成なら Operate に戻る
ある作業を行う前に、すでに目標が達成されているかどうかをチェックし(Test)、
すでに達成されている場合は作業をしないで抜け出します(Exit)。
Testで目標が達成されていないことが判明したら、その目標に向けてある一定量だけ作業を行い(Operate)、再び目標が達成できたかどうかをチェック(Test)します。目標を達成していたらそこで抜け出し(Exit)、できていなければ作業(Operate)に戻るというサイクルを繰り返します。
このモデルの基本的なサイクルであるTest→Operate→Test→Exitの頭文字をとって「TOTE(トート)モデル」と言われています。
(参考:研修設計マニュアル~人材育成のためのインストラクショナルデザイン 鈴木克明著)
TOTEモデル活用事例:営業担当者向けの商談スキル研修
営業担当者向けの商談スキル研修を行った場合、以下のようにTOTEモデルを活用して、各受講者が研修ゴールに達しているかどうかを確認することが出来ます。
(「研修設計マニュアル~人材育成のためのインストラクショナルデザイン」 鈴木克明著を参考に作図)
ポイントは、まずテストをすること!評価って何となく、“最後にやるもの”や“集大成”のイメージがありませんか?
ご参考:「評価は大トリに」って思っていませんか?
でも実際には、先にテストをして課題を把握すること、またテストを学習の中にこまめに組み込んで、都度つまずきを解消し、苦手なポイントを減らしながらその先の学習へ進むことが成果を効率的に上げることにつながります。
できない部分を見つけるだけでなく、「すでにできているから余計な研修をしない/受けない」という観点での効率化にもなります。
よって、上記の営業担当者向けの商談スキル研修のイメージにおいてもまず、ロールプレイ(事前テスト)を実施し、すでに合格基準に達している場合には研修を受けずに終了とします。合格基準に達していない場合は、研修などのインプットを実施します。
研修終了後にロールプレイ(事後テスト)を実施し、 合格基準に達している場合は、それで終了です。
ロールプレイ(事後テスト)の段階で合格基準に達していなければ、一定の時間、あるいは一定のパートについて練習をしてもらい、再度ロールプレイ(再テスト)を実施してもらいます。
その結果、合格できなければ、何度でも繰り返し練習をします。そして、最終的に合格基準に達したら終了です。一度で出来る人もいれば、何度も繰り返して終了する人もいます。
何度も繰り返して終了にたどり着くことに、何も問題はありません。しかし、中には何度もチャレンジすることを失敗と捉えてしまい、「恥ずかしい」「情けない」と感じてしまう人もいるかもしれません。そのため、インストラクショナルデザインの理論の一つに「TOTEモデル」があって、何度もチャレンジする事が大切であるという事を社員自身が分かっているとよいでしょう。
TOTEモデルで「何度もチャレンジする企業文化」を醸成する
TOTEモデルの考え方を社内の様々な場面に応用することで、「何度もチャレンジすることをよしとする企業文化」を醸成することができます。
以下にいくつかの例を示します。
「TOTEモデル」を社内の共通言語にする
研修や会議、日常の業務の中で「TOTEモデル」という言葉を積極的に用い、目標達成までのプロセスを「Test → Operate → Test → Exit」と言語化することで、チャレンジの繰り返しが当たり前という意識を醸成します。
失敗を許容し、学びを奨励する
失敗事例を積極的に共有し、その失敗から何を学んだのかを議論する場を設けます。失敗を恐れずチャレンジできる心理的安全性の高い環境を作ることで、チャレンジすることをよしとする企業文化醸成に繋がります。
ご参考:職場の学習革命『PLE30』~学びで未来を変えるための30の指標~
チャレンジを称賛し、評価に反映する
人事評価においても、チャレンジの姿勢やプロセスを適切に評価しましょう。上司はコーチングや評価を通じて、部下のチャレンジを積極的に称賛し、励まします。最終的な結果だけでなく、TOTEモデルの実践度合いも評価の対象とすることで、チャレンジの文化を根付かせることが可能となります。
上記は、あくまでも例とはなりますが、TOTEモデルの考え方を社内の様々な場面に浸透させることで、 「何度もチャレンジすることをよしとする企業文化」を醸成することができることでしょう。
インストラクショナルデザインを、貴社の研修に取り入れませんか?
今回ご紹介した「TOTEモデル」は、インストラクショナルデザインの理論の一つですが、インストラクショナルデザインには他にも様々な理論があります。
- インストラクショナルデザインを活用した研修というのはどの様なものなのだろうか?
- 会社の人材教育を変革したいが、一体、どこからスタートすればよいのだろう?
- どうすれば、社員のスキルを正しく評価できるのだろう?
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