あなたの部下は、経験を学びにつなげられていますか?
私はスーパーで買い物するときにいつも忘れ物をしています。
エコバック、買おうと思っていた食材リストのメモ、お財布……おっちょこちょい、で済ませることもできますが、こんなことがずっと続くと、自分の能力が低いんじゃないか…と落ち込むこともありました。
しかし、これはきちんと経験学習モデルを回せていないからではないかと気づいてからは、忘れ物を減らしたり、忘れたとしてもリカバリーが出来るようになりました。
これは、日常の些細な例ではありますが、もし
✓いつまでたっても些細なミスが減らない
✓長い期間状況を改善できていない
✓あれもこれも教えることが多すぎて手が回らない
そんな部下がいらっしゃったら、「経験学習モデル」を活用して経験から学ぶ力を鍛えてあげると改善がされるかもしれません!
経験学習モデルとは?
経験学習モデルとは、アメリカの教育理論家のデイビット・コルブ博士が提唱したモデルで、「コルブの経験学習モデル」とも呼ばれます。
実務経験で「成長が早い人」と「成長が遅い人」の差は「経験から学ぶ力の差」であると言われています。(松尾睦 「職場が生きる人が育つ「経験学習」入門より)
「経験から学ぶ」ためには、下に記す4つの活動に取り組み、その4つの活動を繰り返し行うことで、学習が進んでいくと考えられています。
①具体的な経験をする(Concrete Experiences)
②内省する(Reflective Observations)
③教訓を引き出す (Abstract Conceptualizations)
④新しい状況に適応する (Experimentation)
以前にも、上司の方向けの経験学習モデルに関する記事を書いていたのですが、今回は「部下の視点」から経験学習モデルをもう一度考えてみたいと思います。
ご参考:部下指導に必要な4つのステップ
もしも、経験学習モデルを部下が実践したら?~オンライン商談に失敗した社員の事例~
例えば、あなたの部下がオンライン商談に失敗したとします。その失敗を部下はどうやって学びに変え、次に活かしていけるのでしょうか?
経験学習モデルのステップを踏めれば、この様に進んでいくことになります。
①具体的な経験をする(Concrete Experiences)
・初めてオンライン会議システムを使って商談をした!
②内省する(Reflective Observations)
・操作ができなくて、モタモタしてしまった。声も始め届いていなかった
・相手と関係性を築くのが難しかった……
③教訓を引き出す (Abstract Conceptualizations)
・事前にオンライン会議システムの操作方法を予習しておけばよかった
・場がなごむような会話を織り込んでみよう
④新しい状況に適応する (Experimentation)
・2回目のオンライン会議システムを使った商談では、操作方法を覚えてから実施したので、操作はスムーズ、場がなごむように、背景の画面に工夫をして、談笑することができた
この社員が、さらにまた新しい状況で得た経験⇒内省⇒教訓を引き出す⇒新しい状況に適応する、というサイクルを回していけば、よりレベルの高いオンライン商談ができるようになると予想ができますね。
私たちは本当に学習経験が出来ているのか?~内省して、教訓を引き出してみましょう~
先ほどお示しした4つのステップについては、
「そんなこと、当たり前だよ!」
と思われた方ももしかしたら、多いかもしれません。
一見すると、当たり前のようにも見える「経験学習モデル」
マネジャークラス以上の方であれば、自然と回せているサイクルであることが予想できますが、では、あなたの部下は「経験学習」のサイクルをしっかり回せていますか?
例えば、部下の方が何かで失敗したとして、「内省する」「教訓を引き出す」は当たり前にやっているように思われるかもしれません。
しかし……
・実際には、具体的な経験をしたら、内省もせずにすぐに新しい状況に飛び込んでいる
・起こった事象に対して「反応」しているだけで、内省には至っていない
・一旦教訓を引き出したとしても、それを次の新しい状況で使えていない
・過去に内省し、教訓を引き出したが、それを忘れてしまった
・教訓が、実際の業務で活用されていない
そんな方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
部下の方が一人で、経験学習モデルのサイクルを回していけるようになるのがベストではありますが、もし今の段階でサイクルを回せない場合には「コーチング」がおすすめです。
上司が部下にコーチングを行いながら、経験学習を回していくサポートをすることも可能です。
あ、コーチングをする前に、ぜひこちらの記事もチェックしてみてくださいね。
ご参考:残念なコーチングで終わっていませんか?
さあ、あなたの組織でも経験学習のサイクルを回して、できる人材を育てていきませんか?