後悔先に立たず。研修受講者の行動が変わらない原因はココにあった!
心血を注いだ研修。
受講者たちはできなかったことができるようになっていて、目をキラキラさせて、やる気に満ちている。
「現場でもやってみます!」
そんなアンケート結果も得ることができ、これは期待できそうだと思えた研修があったとします。
・
・
・
研修から1ヶ月後、受講者は実際に現場でも研修で得た知識やスキルを活かし続けているでしょうか。
現場でも研修で得た知識やスキルを活かして行動変容が継続的にされている受講者もいる一方で、「研修でできていた受講者が、現場に戻ったら研修で得た知識やスキルが活用されていない」ということもよく見られるのではないかと思います。
研修後も継続的に行動変容がされている場合とそうでない場合、いったいその差はどこにあるのでしょうか?
研修後も継続的に行動変容を促すことができる環境を作るには?
カークパトリック(Kirkpatrick, 1998)は評価の「4段階モデル」を作ったことで有名です。
これは、研修等の教育の評価方法として長年用いられているモデルで、評価を以下の4段階にわけて捉えます。
参考:研修はテストとアンケートの両方でしっかり効果測定しよう!
今回の記事は4段階の中でも「レベル3」の行動部分に関するお話になります。
では、本題に入りましょう!
企業が研修をするということは、時間やお金をかけて研修をすることによって、何らかのプラスを期待しているということになります。
そのため、研修で学んだ内容を職場で活かすことをせず、何も「行動変容」がなかった場合、その研修自体が「実施する意味があったのだろうか?」と疑問を持たれてしまう可能性があります。
実は、このような状況は比較的たくさんの企業で起こっている現実ではないでしょうか。
研修後の行動変容に必要な条件4つ
カークパトリックは、4段階評価の「レベル3」での行動変容のために必要な条件として、次の4つを上げています
1. その人が変化したいという願望を持っていること
2. その人が何をどうやったらよいのかを知っていること
3. その人が正しい雰囲気の職場で働いていること
4. その人が変化することに対する報酬があること
参考:研修設計マニュアルp207 北大路書房 鈴木克明著
行動変容は、もちろん受講者本人に依存するところも大きいのですが(上記1と2)、一方で、職場の雰囲気や態度なども大きく影響します(上記3と4)。
参考:“研修”と“現場”の垣根をなくすワークプレイスラーニング
本人が研修後にやる気満々で職場(現場)に戻ってきても、それを良しとしない上司がいたりすると、その研修内容は職場で実践されることなく闇に葬られることになります。
逆に言えば、職場でのちょっとしたサポートによって、受講者の行動変容を促進することができるのです。
カークパトリックは、「レベル3の行動変容を支える上司の雰囲気」についても触れており、5つの雰囲気について著書の中で触れています。
1.抑止的(Preventing)・・・研修プログラムで学んできたことの活用を上司が禁止している。
2.やる気をそぐ(Discouraging)・・・上司は「やってはいけない」とは直接的に言わないが、研修受講者が行動を変えることを上司が快く思っていないことは確実に伝えられている。
3.中立的(Neutral)・・・部下が研修をうけてきたという事実を上司は無視していて、業務は通常通り行われている。もし部下が行動を変えたいと思うのであれば、職務が今まで通りに完了する限りにおいて上司は何も言わない。
4.奨励的(Encouraging)・・・上司は、受講者が学んだ成果を職務に活用することを奨励している。
5.要求的(Requiring)・・・部下が何を学んできたのかを上司は把握していて、それを確実に仕事に転用させたいと思っている。
研修設計マニュアルp207 北大路書房 鈴木克明著より抜粋
イメージすると、下ような上司像ではないでしょうか。
職場の雰囲気が3.中立的(Neutral)未満の場合は、研修結果が職場・現場で活かされることもなく、また研修を受けた受講者も不満が募る結果となりかねません。
学んだことの実践を “上司から” 求め、奨励しよう!
職場の雰囲気が悪い、「3.中立的(Neutral)」未満となってしまうのはどのような場合かというと、受講者の上司が、その研修について理解をしていなかったり、誤解をしていたりと、何らかのネガティブな印象をもっている場合ではないでしょうか。
解決方法としては、研修の設計の段階から、受講者の上司を巻き込んでおくことです。
そこで、受講者の上司に聞き取りをしたり、意見を聞いたり、理解を得ておくというステップを踏んでおくことで、研修後に受講者が職場・現場で研修内容を活かして行動変容していくことがサポートされやすい環境に近づいていくことでしょう。
どの段階で、受講者の上司を巻き込むべきか、どのような内容を聞き取りするべきか、などポイントを押さえた研修づくりのお手伝いが必要な方は、いつでもお問い合わせください。