「がむしゃらに勉強して学んで成長しろ!」上司からの叱咤激励……でも一体どこに向かって成長すればいいの?
スポ根のごとく、「とにかくやる気と根性、がむしゃらな努力を!」……とまではいかなくとも、日々の業務や研修に対して、とにかく「成長しなきゃ!」とがむしゃらに経験を重ねたことがある方は多いのではないでしょうか。
私はかつて働いていた環境でそんな経験をしました。
例えば、クライアントへのプレゼン機会。
それは突然でした。
「そろそろやってみようか!まあいつも見ているし、あんな感じでやればいいから~」
先輩からの言葉を受け、見よう見まねでトライ。
終了後、先輩からは「ぎこちなさはあったけどまあよかったと思うよ!これは数こなして経験して成長よ~!」
ほっと一安心、先輩の言葉通り、たくさんの経験を重ねました。
……でも本当にこれでよかったのかな……?
様々にプレゼンをこなしてきたけど、本当に成長できている……?
今回はそんな私がリープに入社し、インストラクショナルデザインの考え方に触れることで気づいた、「学習目標の明確化」の重要性についてのお話です。
「成長」って便利だけど抽象的……ぼんやりとした成長像
当時の私を振り返ると、
疑問① その「成長」って具体的にどういう状態?
疑問② どう「成長」すれば、スキルを業務に「効果的」に活かせて、先輩から「合格」をもらえるのか?
そんなことを考えながらも明確化することなく、言われた課題やタスクをこなし、抽象的な成長めがけてもがいていたように思います。
学びを通して「どこに向かうのか?(ゴール)」を明確化した学習目的の設定がとっても大切!
新たな研修やOJTなど学びを始める前には学習目標を設定し、「どこに向かうのか」=つまり学びを通して目指すゴールを明確にします。
今回は学習目標を設定する際にヒントになる「学習目標の明確化3つの要素」の考え方をご紹介します。
これは米国の教育工学研究者のロバート・メーガー (Robert F. Mager)によって提案され、この3要素に沿って設定した学習目標は、求める学習成果を有効に表すことができ、研修設計時の内容整理にも役立つ考え方です。
研修や学びを設計デザインする上で、プログラムの中身やプロセスはもちろん重要!
ですが、まずは「どこに行くのか」=学習目標を明確にすることが大前提として重要になります。
学習目標を具体的に設定すればするほど、学ぶ側はもちろん、学びを提供する側も含めた双方が、学びを通して成長した「ありたい姿」を具体的にイメージし、目線を合わせることができます。
上記のステップを踏みながら、改めて冒頭の「クライアントへのプレゼン」における「明確な学習目標」とはどのようなものかを考えてみました。
明確な学習目標の事例
一口に「プレゼンができるようになる」と言っても……
・定型の製品紹介?それともクライアントに合わせた提案?
・新規顧客?既存顧客?
・自社紹介の場面?それともコンペの大舞台?
など、様々なシーンや要素が考えられますし、それらによって難易度も異なります。
これでは明確な学習目標とは言えません。
冒頭の私のエピソードは、クライアントに対して初めて、自社紹介のプレゼンをするというシチュエーションでした。
その状況をふまえながら、学習目標明確化の3要素にしたがって、次のように学習目標を作成してみました。
・定型のスライドを使って、自社の会社概要を紹介できる (01 目標行動)
・新規クライアントへの紹介という設定でのロールプレイ (02 評価条件)
・チェックリストを全て満たし、10以内に紹介できる(03 合格基準)
*チェックリスト項目例…/冒頭に挨拶が入っている/説明に誤りがない/顧客に理解度を確認している……など
あいまいに「ちゃんとクライアントにプレゼンしなきゃ!」と思っていた当時と比べて、 “何ができるようになるべきか”がずっと明確です。
こんな風に考えるだけで、より具体的に「学んだ結果として何ができるようになるのか」をイメージして考えることができ、ゴールへ向かう道のりも見通しやすくなりました。
日々の業務や新たな挑戦も、この「学習目標の明確化」の考え方で目指す姿をブレイクダウンすることで、効果的な成長の近道であると気付くことができました。
これまでは成長した姿をあいまいにしてしまっていましたが、これからはこの「学習目標の明確化」で次のステップを整理しながら、明確に成長していきたいと思います!
ご参考:部下の行動が変わらないのは目標設定の仕方が原因? “ふわっとした目標”を具体的にする3つのチェックポイント
まとめ
今回は学びにおける明確な目標設定の重要性についてのお話でした。
皆様もぜひ、ご自身の学びや、部下・後輩への指導の際に「学習目標の明確化の3要素」を取り入れてみていただけたら幸いです。
今回ご紹介した内容以外にも、インストラクショナルデザインには学習目標を立てる際に役立つモデルがたくさんあります。
以下の記事でもご紹介しておりますので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
ご参考:育成や学習がうまくいかないのは「目標に問題アリ」かも!?
とはいえ、「考え方は分かったけど、具体的に設定しようとすると難しい…」そんなお声も聞こえてきそうです。
「具体的に、どんなあるべき姿を設定すればいいのだろうか?」
「あるべき姿のイメージはあるけど言語化するのってハードルが高い……」
そんなお悩みに対して、私たちリープはスキルのパフォーマンス分析を行い、あるべき姿を可視化、指標化したルーブリック設計と開発をお客様に合わせてご提供しています。
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