「評価」のイメージを変えよう!日常のプロセスに評価を組み込む意義
2024年11月14日更新
ざっくりのあらすじ
1. 多くの人は「評価」を学期末テストや人事考課のような、学習・業務の最後に行うものとして捉えがちである
2. インストラクショナルデザインの観点では、評価は学習プロセスの一部として位置づけられ、小さな評価を積み重ねて軌道修正していくことが重要である
3. 会社での実践的なスキル評価には「ルーブリック」が有効で、これは単なる評価ツールではなく、次の目標設定やコミュニケーションツールとしても機能する
4. 評価は特別なイベントとして扱うのではなく、日常的に取り入れることで効果的な人材育成が可能になる
「評価」と聞くと、どんなイメージを持ちますか?まず思い浮かべるのは何でしょうか?
多くの人が「学校の通知表」や「成績」を連想するかもしれません。もしくは、経験豊富なビジネスパーソンなら「人事考課面談」や「ボーナスが決まる瞬間?」なんて考える方もいらっしゃるでしょう。
私たちリープでは、インストラクショナルデザインに基づいてパフォーマンス評価を行っています。そのため、上記のイメージとは少し違った捉え方をしているかもしれません。今回は、その「評価」に対する見方を、ちょっと変えてみませんか?というお話をお届けします。
学習と評価は別物?
改めて「評価」のイメージですが、学生時代を思い返すと、学期が終わると成績表が渡される。そして、次の学期には新しい単元を学んで、その単元の理解度に基づいた評価がまた成績表として手元に返ってくる―そんな繰り返しのイメージが強いのではないでしょうか?
評価は「学習が一段落ついたときにやるもの」「最後にまとめとして行うもの」「集大成を見て判断するもの」という感覚が根付いているかもしれません。ちょうど以下の図のように、直線的な学習の流れの“区切り=評価”、のようなイメージがありませんか?
「評価=学習の一部」なんです!
リープの提供するパフォーマンス評価は、インストラクショナルデザイン(ID)に基づいて構築されています。ある日、弊社のインストラクショナルデザイナー(IDer) Aさんに「評価=通知表」という印象を率直に話してみたところ、「実際に同じようなイメージを持つ方がとても多い」と教えてもらいました。
その時、Aさんからこんなフィードバックもありました。
評価って、期末テストのような一発勝負ではなく、小さな評価を積み重ねて軌道修正していくことが大切なんです。
期末テストで赤点を取ってからでは遅いですよね?
この考え方には、とても納得させられました。
正直なところ、学生時代は「課題が多すぎる」「小テストが頻繁すぎる」と感じて、少し憂鬱になっていたこともあります。でも、振り返ってみると、大きなテスト一発勝負だと、その結果が返ってくる頃にはもう手遅れで、赤点を取ってしまうこともあったかもしれません。
大きなテストの前に、こまめに小テストがあれば、その都度つまずきを解消し、苦手なポイントを克服しながら、次の学びへ進むことができます。
つまり、「評価」は学習が終わった後に一度だけ行うのではなく、学習のプロセスの中にこまめに取り入れることで、より効果的に成果を上げることができるのです。
Aさんのフィードバックを通じて、「評価」が学習のサイクルの一部であることが腑に落ちた瞬間でした。
ご参考:
インストラクショナルデザインことはじめ 『ADDIEモデル』
『TOTEモデル』で人材育成を変革! 何度もチャレンジできる職場環境を作り、成長を支援する
育成や学習がうまくいかないのは「目標に問題アリ」かも!?
ここまで学生の学習を例にお話ししてきましたが、「評価=学習の一部」という考え方は、会社での研修やOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)など、大人の学びにも当てはまります。
もしかすると、「会社で必要なスキルって、単純な小テストでは測れないことも多いのでは?」と感じるかもしれません。たしかに、業務では暗記よりも実践的なスキルが求められることが多く、研修内容を理解しているだけで実務に活かせなければ意味がないですよね。
そのため、弊社では、テストでは測りづらいスキルを把握するために、「ルーブリック」を使ったパフォーマンス評価をおすすめしています。
「ルーブリック=評価ツール」だけじゃない!
ルーブリックは、弊社のパフォーマンス評価に欠かせないツールです。
簡単に言うと、学習によって身につけた行動のレベルをいくつかの段階に分け、その行動の達成度を評価する基準です。これにより、学習した内容がどれくらい実務に反映されているかを可視化しやすくなります。
ルーブリックの記述語には、社員が自身の職務で成果を出すために必要な行動を記載します。
(上の図は、製薬会社の営業担当者向けのルーブリックを簡略化したものです)
職種ごとに必要とされる行動は異なります。営業職なら「商談」や「営業戦略」、本社の企画担当者なら「プロジェクトマネジメント」、マネジャーなら「コーチング」といった具体的な行動や思考が求められます。同じ企業内でも、職務によってルーブリックの内容は異なり、それぞれの役割に応じた成果を引き出すためにカスタマイズされます。
また、同じ営業職でも、業種が違えば必要とされるスキルも異なります。たとえば、企業相手にITシステムを提案するBtoB営業と、住宅を一般消費者に提案するBtoC営業では、成果に結びつく商談スキルが異なります。
ルーブリックを使うことで、各職場で求められる行動に基づいた評価基準が社内で共通化され、部下に現在の到達度を明確に伝えることができるようになります。これにより、次に目指すべき目標がどこか、というゴール設定にも活用できます。
ルーブリックで部下とのブレないコミュニケーションを
ルーブリックを活用することで、部下とのコミュニケーションが一層明確になります。たとえば、部下のBさんがルーブリックの評価観点No.5で現状「Fair」という評価を受けているとしましょう。
このルーブリックの内容をCさん(上司)とBさんが共有していれば、Cさんは「次はまず『Good』を目指そう!具体的には、ルーブリックに書かれている行動ができるようになればいいんだな」と、次の目標をわかりやすく示すことができます。
つまり、ルーブリックは単なる評価ツールではなく、次に目指すべき目標を設定するための有力な学習・教育ツールでもあります。
このようにして、部下と上司の間でブレのないコミュニケーションを築くことができるのです。
ご参考:ルーブリックについて、詳しくはこちらの記事をご参照ください
パフォーマンスの状態を可視化できる評価指標「ルーブリック」
学びの現在地の確認をしていますか?
成果につながる人材育成システム「スキル評価」
大切なのは評価を特別視せず日常に取り入れること
現場で求められる行動レベルへの到達を目指すために、ルーブリックを活用した評価をこまめに行い、部下の皆さんがスムーズにステップアップできる環境を整えてみませんか?
もし、ルーブリックについてもっと詳しく知りたい、あるいは自社の業種や職務に最適なルーブリックがどのようなものか気になる方は、ぜひリープまでお問い合わせください。お手伝いできることを楽しみにしています!