カッツ理論-ガッツで克服できないマネージャーのスキル-
2025年3月27日更新
ざっくりのあらすじ
1. カッツ理論は1950年代にロバート・カッツが提唱した経営管理フレームワークである
2. カッツ理論は組織の階層(ローワー・ミドル・トップマネジメント)ごとに必要なスキルを体系化したマネジメントモデルである
3. マネジメント層の階層(ローワー・ミドル・トップ)に応じて、テクニカル・ヒューマン・コンセプチュアルの3つのスキルの必要度が変化する
4. カッツ理論は人材育成計画の策定や組織開発、スキル評価の可視化など、多くの企業で実践的な人材マネジメントツールとして活用されている
近年注目を集めている「カッツ理論(カッツ・モデル)」をご存じですか?
組織マネジメントや人材育成に関わるマネージャーに求められるのは、「ガッツ」だけではなく理論的なアプローチです!
カッツ理論は、組織の階層ごとに必要な能力を体系的に整理した概念です。
今回は、カッツ理論の基本知識と、マネジメント層に求められる3つのスキルについて解説します。
カッツ理論とは??
カッツ理論は、1950年代後半に、アメリカの経済学者ロバート・L・カッツ氏が提唱したマネジメントモデルです。
カッツ理論では、企業の経営層から現場の管理者までを以下の3つの階層に分類しています。
- ローワーマネジメント
- ミドルマネジメント
- トップマネジメント
さらに、マネジメントにおいて必要な能力を以下の3つに分類しています。
- テクニカルスキル(業務遂行能力)
- ヒューマンスキル(対人関係能力)
- コンセプチュアルスキル(概念化能力)
それぞれの階層において、どの能力がどれ位の割合で必要とされるのかが図示されており、各マネジメント階層別により重要なスキルを理解することができます。
ご参考:マネージャー向けの記事として、こちらの記事もおすすめです!
部下育成がうまくいかない? マネージャーに求められる『構造化スキル』とは
ココが肝!カッツ・モデルの3つの能力
カッツ・モデルで示されている、マネジメントにおいて必要な3つの能力についてご紹介します。
ここからが重要ですので、必ず最後までご覧ください!
テクニカルスキル
テクニカルスキルとは、いわゆる業務遂行能力を指します。
例)
エンジニア:プログラミングスキル、システム設計スキル、プロジェクトマネジメントスキル 等
営業:質問スキル、仮説構築スキル、傾聴スキル、提案スキル、市場知識、商品知識 等
事務:事務処理スキル、PCスキル、文章作成能力、データ管理 等
このような業務そのものについての深い知識やスキル=テクニカルスキルは、現場に近い立場の管理職であるローワーマネジメント層にとってより重要な能力とされています。
ヒューマンスキル
ヒューマンスキルは、社内外の関係者と良好な関係を築くためのスキルです。
すべてのマネジメント階層で必要とされ、特にミドルマネジメント層では重要度が増します。
例)
コミュニケーションスキル(円滑な意思疎通)
ファシリテーションスキル(会議や議論の活性化)
リーダーシップ(チームやグループを率いる力)
コーチングスキル(部下の成長支援)
他にも、お互いの利益の最大化や納得できるゴールを見出す交渉力や相手の納得を引き出すプレゼンテーション能力等、他人に働きかける力もヒューマンスキルに含まれます。
ヒューマンスキルは、組織の中で目標を達成が課せられているビジネスマンにとっての必須能力です。
そのため、ヒューマンスキルはカッツ理論においては全ての役職分類において一定の割合で必要な能力であるとされています。
ご参考:コーチングに関する記事はこちらをご覧ください
【コーチング談義 Vol.1】コーチングの「本質」に切り込む!
【コーチング談義 Vol.2】PBPの視点で効果的な成長支援への道筋を紐解く
【コーチング談義Vol.3】優れたコーチングを助けるタイプ分類
コンセプチュアルスキル
コンセプチュアルスキルは、物事の本質を理解し、全体像を把握しながら戦略を立てる能力です。
特にトップマネジメント層には不可欠なスキルで、「概念化能力」と訳されます。
つまり、知識や情報など複雑な事象を概念化し、目の前の状況や情報を客観的に分析し、その物事の本質をとらえて最適解を見出す能力のことです。
例)
ロジカルシンキング(論理的思考力)
ラテラルシンキング(発想の柔軟性)
意思決定能力(経営判断)
問題解決能力(課題の本質を見極める力)
コンセプチュアルスキルの高い人材は、ある経験から多くの知見を得たり、全く違って見える問題の共通項を見出したり、複数の選択肢の中から最適なものを選ぶ、複雑な問題の中から真の解決策を導き出したりすることが出来ます。このようなことから、より上位の階層ほどコンセプチュアルスキルが必要であるとされています。
ちなみに、コンセプチュアルスキルは、その他の2つのスキルである、テクニカルスキルとヒューマンスキルが土台として備わっていないと身につけられないものとされています。
カッツ理論の活用方法―どう使うのか?―
カッツ理論を活用方法は様々ですが、例えば人材育成のターゲットごとに必要な教育をどの様にするか決定する際に活用することもできます。
また、社内の全ての職種を対象としてモデルを構築することにより、マネジメント層以外の社員育成に役立てることもできます。
マネジメント層以外の社員にも、「必要とされているスキルは何であるのか」がビジュアルで理解してもらうことが出来ます。
これらの理由から、人材育成のフレームワークとして、多くの組織でカッツ理論が活用されているのです。
カッツ理論のまとめ
マネジメントに必要な能力を可視化したカッツ理論は、現在でも多くの企業で人材育成に役立てられています。
マネジメント層のどの階層で、どのような能力が必要とされるのかが明示されており、育成ターゲットに対して必要な教育が理解しやすいとされています。
あなたの組織では、社員に必要とされる能力・スキルは明示されていますか?また、社員の能力やスキルを測る指標をお持ちでしょうか?
社員のスキルの可視化を実現するためには、まずスキルの評価が必須になります。
社員のスキル評価、スキルの可視化、その先の人材育成に関するご相談はリープまでお気軽にお問合せ下さい!
カッツ理論については動画でもご紹介しております。ぜひご覧ください。
執筆者プロフィール
堀 貴史 リープ株式会社代表取締役・パフォーマンスアナリスト
一般財団法人生涯学習開発財団 認定コーチ、認定アクションラーニングコーチ、
CompTIA CTT+ Classroom Trainer、CompTIA Project+、創造技術修士(専門職)
パンダやクマ、甘いものが大好きです。みんなに健康を心配されていますが、、、元気です!