次の時代を生き抜くための基礎力を鍛えよう ~問題解決力の高め方~

インストラクショナルデザイン, ガニェの学習効果の5分類, ビジネススキル, 人材育成, 学習支援

『ラーニング・アジリティ』という言葉をご存じですか?

ラーニング・アジリティとはコンサルティングファームのコーン・フェリー社が掲げる組織・人事のコンセプトの中で、“優れたリーダーの資質”として挙げられているものです。

「学習機敏性」とも訳され、初めての状況にもいかに早く適応できるかという“学びの速さ”を意味します。
出典:コーン・フェリーが生み出した組織・人事のコンセプト – Korn Ferry Focus

これからの時代に必要な能力として様々なサイトでも紹介されていますが、このラーニング・アジリティをはじめとして、変化の激しい時代を生き抜いていくためには多様なスキルを身に付けていく必要があります。

……とはいえ、何から学んでいけば/学ばせていけばいいの!? と頭を抱えてしまう人も多いのでは?

つい「変化を恐れるな」「多様な興味・関心を持とう」「ゴールやあるべき姿から考えよう」といった概念的、“態度”的な心掛けや指導をしてしまうかもしれません。インストラクショナルデザインにおいて、学習成果の5分類における「態度」学習、つまりマインドの部分を育てる/醸成するのは、複雑で難易度が高いとされています。

「マインドを変えるのは難しいので、できる限りマインドに依存しない部分から介入していきましょう」、ということですね。

ご参考:“マインド”を変えるための5つのステップ

私は個人的に、すべてのスキルの根底は“問題解決スキル”につながっているはず! なんて思っているのですが、そんな私の盲信はさておいても、ラーニング・アジリティのような「変化や新しい状況に素早く適応できる」能力の一端を、「未知の問題に遭遇した場合に素早く解決策を検討・適用できる」能力=“問題解決スキル”が担っているのは間違いないのではないでしょうか?

「真の問題が特定できれば問題の9割は解決したようなものである」なんてことも言われるほど!

そんなわけで今回は、次の時代を生き抜くのに重要な“問題解決スキル”向上に役立つおすすめの方法をご紹介したいと思います!

問いを立てる力 ~素早く問題の本質にたどり着く~

問題を深掘りして真因を探っていくことは非常に大切でかつ複雑なプロセスです。

問題の深掘りとはつまり「この問題はなぜ起きたのか?」「どんな影響を及ぼしているのか?」「見落としていることはないか?」などといった様々な“問い”を立て、本質に迫っていくことです。よって、「問い」や「質問」を立てるスキルの向上は問題解決に欠かせません。

今回は、問いや質問、仮説思考のスキルの向上に役立つおすすめの方法を、目的やシチュエーション別に3つご紹介したいと思います。

質問スキルの向上やチーム全体の問題解決力向上におすすめ!
『質問会議(アクションラーニング)』

「質問会議」とは、ある問題に対して「質問」と「答え」のみで会議を進めていく問題解決や組織開発の手法の一つです。アクションラーニングという「グループで現実の問題に対処し、その解決策を立案・実施していく過程で生じる、実際の行動とそのリフレクション(振り返り)を通じて、個人、そしてグループ・組織の学習する力を養成するチーム学習法」(*)に基づいています。

その名の通り質問を軸にしたコミュニケーション形態であるため質問力が培われるだけでなく、チームビルディングにも役立つ手法です。
*出典:アクションラーニングとは | NPO法人 日本アクションラーニング協会

ステークホルダーの立場での仮説思考による潜在的な問題発見におすすめ!
『POS(問題志向システム)』

POS(ピー・オー・エス,Problem Oriented System)とは、アメリカのウィード教授とハースト教授によって開発され、医師の日野原重明氏によって日本に紹介された「(患者)問題に着目しながら物事をとらえ考えていくシステム」という問題志向システムです。

“患者問題”とあるように医療の現場で広く取り入れられており、このシステムを通して、患者さんを「“病気の治療を受ける人”である以前に“生活者”である」と捉え、QOLを大切にしながら効果的かつ最高のケアを目指します。

このような、人を一側面からのみではなく身体・社会・心理などの様々な立場を含め総合的に捉える考え方を『全人的』と呼びます。POSは全人的な観点からの問題解決のフレームワークなのです。

元は医療の文脈ですが、患者を顧客やステークホルダーに置き換えると、目先の利益やだけにとらわれない顧客の全人的な真の問題解決の実践に、非常に有用です。

実際に弊社のお客様にも、顧客思考を中心とした営業活動のためにこのPOSを取り入れていらっしゃる企業様がいらっしゃいます。

問題のボトルネックを明確にし、解決の最短ルートを見つけたいときにおすすめ!
『TOC(制約理論)』

TOC(Theory of Constraints)とは、イスラエルのゴールドラット博士が開発したマネジメント理論で、原因と結果(因果関係)というシンプルな相互関係を紐解きながら、物事の達成やパフォーマンスを妨げているもの(制約)を見つけ出し、そのごく限られた根本原因にのみ介入することによって、最小コストで最大の効果を得ることを可能にします。

TOCの基本的な仮定

TOC(Theory Of Constraints:「制約理論」または「制約条件の理論」)は、「どんなシステムであれ、常に、ごく少数(たぶん唯一)の要素または因子によって、そのパフォーマンスが制限されている」という仮定から出発した包括的な経営改善の哲学であり手法です。

(中略)

この仮定からまず読み取れるのは、「制約にフォーカスして問題解決を行えば、小さな変化と小さな努力で、短時間のうちに、著しい成果が得られる」という主張です。つまり、冒頭の仮定により、システムのパフォーマンスを決めている、ごく限られた箇所を改善または強化すれば、システム全体としてのパフォーマンスの向上に直接寄与するからです。

その意味で、TOCでは、しばしば、制約を肯定的にレバレッジポイントと呼びます。

出典:TOCの基本の考え方 | 日本TOC協会

問題解決スキルを高めて「時代の先を行く」人材に

今回は「問題解決スキル」の向上として、問題を深掘り・特定したり、問題解決のプロセスを整理したりするのに役立つ方法をご紹介させていただきました。

ご紹介したもの以外にも問題解決のモデルやフレームワークはたくさんありますので、いろいろ試してみていただいて、ご自身や組織に合った方法を見つけてもらえたらと思います!
ご参考:顧客はいつも『問題解決』を求めている

時代の波に乗るだけでなく、時代の先を行く人材育成のため、ぜひチーム学習や自己学習に取り入れてみてください。

ちなみにリープには、インストラクショナルデザイナーだけではなく、(アクションラーニングコーチ)や認定評価士、各種インストラクター資格所持者など、あらゆる学びの支援ができるメンバーが在籍しておりますし、仮説思考や質問スキルに関する講座(講座の例はコチラ)などもご提供しております。

気になるものがございましたらぜひお気軽にお問い合わせくださいませ!

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