IDは本当にスゴかった!? インストラクショナルデザインの活用事例をご紹介
2022年5月20日(金)、日本の人事部主催「HRカンファレンス2022-春-」にて、横河電機株式会社のフェローでいらっしゃる勝木 雅人様と弊社代表の荒木 恵による合同講演を行いました。
タイトルは「経験や勘に頼らない『エビデンスベースドラーニング』のススメ。
熱意型育成から脱却する手法と実践事例」となり、盛況のうちに終了いたしました。
これまでリープでは、日本の人財育成の場面でよく見られる「KKD(勘と経験と度胸)」に基づく教育にお悩みの方々に、客観的かつ合理的なインストラクショナルデザインの理論やモデルをご紹介してきました。
しかし、「実際に企業ではどのように活用しているのか?」「他社はどのように業務改善をしているのか?」と感じることもあるかと思います。当講演は、そんな皆さまの疑問をスッキリ解消する展開となりました。
本記事では、この講演内で触れられたインストラクショナルデザインの理論をいくつかご紹介させていただきます。
「経験学習モデル」を用いたマネージメント改革
ご登壇いただいた横河電機の勝木様は、200名のコンサルタントと共に製造業向けに課題解決型ビジネスを開発、展開されていらっしゃいます。組織を牽引するお立場で、つまり経営的観点から自社の人財育成の変革についてお話いただきました。
参加者の多くが印象に残ったトピックスとして挙げていたのが「経験学習モデル」の4ステップの解説。部下の行動変容よりも先にマネージメント層の意識改革が急務であったことを振り返り、「言われたことだけを確実にこなす部下」を量産していた時代があったことをお話いただく場面も。
おさらいになりますが「経験学習モデル」とは、経験から学びをえるために学習していくために“経験→内省→教訓→実践”の4つのステップを繰り返すことで学びを深め、スキルを向上させる学習モデルです。
ポイントは、具体的経験のあとの「内省的観察」と「抽象的概念化」のステップです。
どこがうまくいったのか、いかなかったのかを振り返り(内省的観察)、その要因を見つけ出して次の状況にも対応できるように概念化(抽象的概念化)するプロセスです。この2つは一見当たり前のように見えますが、意外と忘れがち、見落としがちです。
<ご参考記事>
たった数日でスキルが向上した!経験学習モデルで最短の人材育成を!!
あなたの部下は、経験を学びにつなげられていますか?
取り組みの中で、上司の指導を「ティーチング」から「コーチング」に切り替え、受注につなげるための支援ではなく、内省を促すための支援に切り替えた途端、社員たちは成功経験が増え、顧客対応力がぐんとアップ。並行して経営側とマネージメント層が力を合わせ、リーダーを孤立させない仕組みも創り出し、組織の「あるべき姿」を完成させたそうです。
部下たちの前向きなマインドを引き出した「肯定的学習環境」
また、日々の学びが活用される、つまり行動変容を起こす職場の醸成、学習環境を整備するために職場が肯定的な学習環境かどうかをチェックしているそうです。
肯定的学習環境を作ることで社員が自ら学びはじめ、その学びを通じて行動変容が起これば業績や社員の評価も上がり、さらに社員は学んでいくというプラスの循環が生まれます。
<ご参考記事>
リープの実例を公開!学習環境を整えて、社員のやる気を引き出すコツ
この取り組みでは、社員にアンケートを取り、PLE30のどの項目に課題があるのか数値化することで、改善すべきポイントが可視化され、公平かつ公正な評価指標を見出すことができたと振り返っていらっしゃいました。
インストラクショナルデザインで未来を切り拓く
日々の業務を俯瞰で客観的に捉え、振り返りながら、課題を可視化し、組織を改善していくという流れを生み出すことは、なかなか難しいかと思います。しかし、インストラクショナルデザインという視点を入れて人財育成の仕組みを整えれば、組織を「あるべき姿」に進化させる、生まれ変わらせることは可能です。
当日は、より具体的な施策や感動的なエピソードも披露されましたので、別途記事やアーカイブ動画にてご覧いただく機会を設けます。ホームページなどで告知させていただきますが、お問い合わせいただけましたら個別にご案内を差し上げますので、お気軽にご連絡いただけますと幸いです。
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