テストやアセスメントは、最高の学習法

テスト作成, パフォーマンス評価・設計, 教育評価

2024年4月に「社員のパフォーマンスを測る!テストやアセスメントは最高の学習法」と題し、株式会社イー・コミュニケーションズとリープ株式会社が対談を行いました。

リープ株式会社と株式会社イー・コミュニケーションズ対談_バナー
本コラムでは、この対談の内容をまとめ、テストやアセスメントが人材育成でどのような役割を果たすのか、また、注目されているCBT(Computer Based Testing)についてご紹介します。

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■株式会社イー・コミュニケーションズ
CBT( Computer Baset Testing)やe-learningサービスの提供など人材育成のDX支援サービスを提供している。特にCBTではTOEICをはじめとする様々な検定団体や企業が利用している、日本を代表する企業である。詳しくは株式会社イー・コミュニケーションズ様のWebサイトをご覧ください。
https://www.e-coms.co.jp/

■リープ株式会社
教育工学に基づいた学術理論を用いて、社員のビジネスパフォーマンス評価・分析を実施し、そこを起点にインストラクショナルデザインで設計したトレーニングを提供し、戦略的な人材育成の支援をしている企業。詳しくはこちらのWebサイトをご覧ください。
https://www.leapkk.co.jp/

テストやアセスメントは人材教育でどのような役割を果たすのか?

膨大な時間とコストをかけて人材教育をしているにも関わらず、その教育効果に疑問を感じている企業が多い現状があります。このような企業の課題は、どうすれば解決していくことができるのでしょうか。
本記事では、テストやアセスメントが企業の教育の課題を解決する可能性についてご紹介します。

現在の人材育成の課題

多くの企業は研修などの教育は施しているものの、その効果測定をあまり実施しておらず、これが人材教育の効果に疑問を感じてしまう理由の一つとなっていると考えられます。

インストラクショナルデザインの観点でこの課題を捉えると、「出口設定」がしっかりと設計されていないと言えます。

  • 何をできるようにするためのトレーニングなのか?
  • 職場に戻った後にどういうことをできるようになるのか?
  • どういう職場の問題を解決するためのトレーニングなのか?

という「出口」をどう設定するかが、インストラクショナルデザイン(ID)の一番の肝となります。

ただし、「出口を設定する」といっても、教育を企画・提供する側であっても、人によってイメージしているものが異なる場合もあります。そのため、共通認識をもって出口を測るテストをあらかじめ設定することが大切になります。

出口を測るテストを設定することで、教育を受ける側にとってはゴールが明確になり、教育を提供する側にとっても「今回は何のためのトレーニングなのか」という目線合わせの効果もあります。

出口をイメージしやすくする例として、大学入試を考えてみると、大学受験をする高校生にとっての「出口」となる大学入試で問われる内容が変われば、高校の授業で実施する内容も変わります。

企業でも、まず教育「出口」を設定し、「出口」に到達したかを確認するためのテストを事前に設計しておくことで、おのずと教育内容が決まり、効果測定もできるようになるでしょう。

「テストエデュケーション」という考え方

株式会社イー・コミュニケーションズの佐藤信也氏より、テストの3つの種類について紹介がありました。
その中でも、「テストエデュケーション」は、単に知識を暗記するだけでなく、問題を解くことで知識の定着を図り、実践的な力を身につけることができると言います。

①メジャーメント

・測定のためのテスト。例えば診断テストなどが該当する
・現在地を知るモノサシとしてのテスト

例)TOEICを受けて自分の英語力がどのくらいあるのかを測る(自分の現在地を明らかにする)

② ライセンス

・検定・認定のためのテスト
・資格を付与する、認定するためのテスト

例)マネジャーになるためにはTOEIC700点がなければ昇進できない、海外赴任するにはTOEIC800点がないといけない(TOEICを受けて「検定」される)

③ テストエデュケーション

・学習のためのテスト
・問題演習で繰り返しテストをしながら習得する

例)試験勉強のために、問題集を解きながらできなかったところを繰り返してやっていくような勉強法。

この3つのテストの考え方は、「インストラクショナルデザインの5つの視点」と大変良く似ています。

3つのテストと、インストラクショナルデザインの5つの視点を対応させると以下の様になります。

①「メジャーメント」
測定のためのテストがIDでいうところの「入口」の評価であり、いわゆる事前テストや前提テストが該当します。
②「ライセンス」
検定・認定のためのテストがIDでいうところの「出口」の評価であり、目標としているゴール(パフォーマンス)を達成したか否かを確認するテストになります。
③「テストエデュケーション」
学習のためのテストがIDでいうところの「学習を進めていく中でアクティビティをさせて、フィードバックを与えていく際の評価(形成的評価)」「途中段階の評価(学習方略)」にあたります。

ご参考コラム
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テストやアセスメントは人材育成に必須ツール

ここまでの内容から、テストやアセスメントは人材教育には必須のツールであることが理解いただけたのではないでしょうか。ゴールとなる「出口」から、学習の「入口」となる現在地を逆算することで、そのギャップを埋めるための学習方略の策定を行うことが可能になります。

研修などを実施する前にテストやアセスメントをすることには、抵抗を感じるかもしれません。
しかし、実際にはテストやアセスメントをまず実施することで、より効率的・効果的な人材教育が可能になります。

CBTとその有用性

テストやアセスメントの重要性が理解できても、テストを作るために手間と時間がかかってしまう、どうやってテストを作ればよいか分からないない、テスト後の分析ができない、等の課題を持つ企業も多いのではないでしょうか。

そのような課題を解決するツールがCBT(Computer Based Testing)です。

CBTとは、コンピューターを用いて行うテストを実施できるプラットフォームで、オンラインで個別に受験、または専用の会場で受験するなど、様々な形態で実施することができます。

CBTを導入するメリットとして、以下のようなことが挙げられます。

■ テストの実施や採点にかかる時間と手間を大幅に削減できる
■ 問題作成や印刷の手間が省け、試験実施のスケジュールにも柔軟に対応できる
■ オンラインでも受験できるため、会場までの移動や、決まった日時にしか受験できないといった制約から受験者が解放される
■ 受験データの分析が容易になり、テスト問題の妥当性や受験者の理解度を詳細に把握することが可能になる
■ 受験者の強みと弱みを可視化し、より効果的な学習施策の立案に活用できる
■ 不正行為の防止のための様々な仕組みが用意されており、自宅受験でも一定の公平性を担保できるようになってきている

日本でもCBTの導入が加速しており、すでに各種の国家資格試験や企業の昇進試験などでの活用が進んでいます。現在は全体の15%程度がCBT化されていますが、2026年の司法試験のCBT化決定は、この流れにさらに拍車をかけるものと期待されています。

CBTは、紙で行うテストに比べて、効率性、柔軟性、分析力、セキュリティ面で大きなメリットを有しています。教育のDX化が加速する中で、CBTはますます重要な役割を果たしていくことでしょう。

テストやアセスメントを武器に、戦略的な人材育成を実施しませんか?

テストやアセスメントは、人材育成に欠かせない、必須ツールです。
学習の出口(ゴール)と入口(現在地)を明確にし、その間の学習プロセスでもテストやアセスメントを有効活用することが重要です。

そしてCBTは、テストやアセスメントを効率的かつ効果的に実施するための強力なツールです。
CBTを導入することで、テストの作成、実施や分析等にかかる工数を削減し、その時間を教育設計に費やすことも可能になります。また、テストやアセスメントを通じて得られる情報を、学習者へのフィードバックや学習設計やテスト問題の改善に活かすことで、人材育成の質をより高めていくことができます。

テストやアセスメントとCBTを効果的に活用し、人材育成の課題解決と教育効果の最大化を目指しましょう。


テストやアセスメントの設計や実施、データ分析などでお困りの際は、ぜひリープ株式会社にご相談ください。インストラクショナルデザインの理論に基づいた最適なソリューションをご提案いたします。

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また、CBTの導入やシステム構築については、株式会社イー・コミュニケーションズまでお問い合わせください。豊富な実績と専門的なノウハウで、皆様の課題解決をサポートいたします。

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