コーチングの失敗パターン:営業マネージャーが陥りやすい問題と解決方法

コーチング, パフォーマンス評価・設計, マネジメント

ざっくりのあらすじ
1.コーチングはマネージャーの重要なスキルであり、営業チームの成果向上に不可欠
2.コーチングの基本プロセスは、目標設定、現状把握、解決策探索、選択肢検討、意思確認の5ステップ
3.コーチングの失敗パターンを知り、改善策を実行することは大切
4.マネージャーも、コーチングスキルの評価とフィードバックを通じて、継続的なコーチングスキル向上を図る必要がある。

営業組織の成果を上げるためには、マネージャーのコーチングスキルが重要な役割を果たします。

今回は、リープ株式会社が営業マネージャーのコーチングスキルを評価し続けて得たこれまでの知見から、効果的なコーチングのポイントと、コーチングスキルの評価や、コーチングスキルを向上させる方法について解説します。

コーチングとは

コーチングとは、コーチとクライアントが対話を通して、目標達成やスキル、パフォーマンスの向上を支援する人材育成の手法の一つです。

上司と部下の間で行われるスキル向上(例えば商談スキル等)のためのコーチングではマネージャーがコーチとなり、部下との対話を通じて、部下が自ら考え、自ら行動を起こし、自ら内省をし、次に繋げていけるように支援することを指します。

ご参考:
部下のスキルとパフォーマンス向上を促進!GROWモデル
ラーニングコーチ ~部下の学びを促す戦略的なアプローチ~
【コーチング談義 Vol.1】コーチングの「本質」に切り込む!

コーチングをしている上司と部下

コーチングのプロセス

ここでは、一般的なコーチングのプロセスをご紹介します。

①目標の設定
あるべき姿や目指す姿としての目標や、そこへ向けての段階的な目標を明確にします。
②現状の把握
現状、何が起きているのか、根本的な問題は何なのかを質問と傾聴で掘り下げていきます。
③解決策の探索
目標を達成するために成功例や得意分野、資材やアイデア、人脈など活用できるものは何なのかを探ります。
④選択肢の検討
解決のための選択肢を部下と共に洗い出します。その際、いつものやり方だけではなく、部下の考えを否定することなく引き出していきます。
⑤意思の確認
行動計画や目標達成への意思やお互いのコミットメントを確認し、ネクストステップを明確にしていきます。

マネージャーは、このようなコーチングの基本的なプロセスの他、コーチングを実施するために必要な知識やスキルを習得した上で、部下へのコーチングを実施することをおススメします。コーチングスキルは、一朝一夕に身につくものではなく、継続したトレーニングが必要です。

私たちリープ株式会社は、営業マネージャーのコーチングスキルを評価し続けていますが、営業マネージャーのコーチングのスキルレベルが低いと、部下のモチベーションをダウンさせてしまうなど、コーチングを行うことで逆に部下にマイナスの影響を及ぼすことがあります。

営業担当者が営業スキルの評価やトレーニングを実施するように、上司側も定期的にコーチングのスキル評価を実施すること、また継続したトレーニングを行う事がコーチングスキルの向上に役立ちます。

ご参考:
成果につながる人材育成システム「スキル評価」

とはいえ、コーチングのスキル評価が大事といっても、何を、どう評価したらよいのか、すぐに実践するには難しい部分も多いかもしれません。そうしたときのヒントとして“これだけは避けるべき”コーチングの事例を紹介したいと思います。

コーチングの失敗パターン

がっかりする社員

コーチングを実施する際に陥りやすい「失敗パターン」があります。
実はあなたも、知らず知らずのうちに行ってしまっているかもしれません。

以下は、商談スキル向上のためのコーチングでよくある失敗パターンの例をご紹介します。ぜひチェックしてみてください。

質問型コーチ

質問型コーチとは、問題点を気付かせるような質問を繰り返しただけで、“気付かせているつもり” になっているタイプです。コーチングの「意思の確認」の意味を取り違えており、一方的で、部下支援の意思がないタイプを指します。

「やってみてどうだった?」
「何でそうなったの?」
「次どうする?」
最終的に、「全部君が言ったことだからね、頑張れよ」

その後のフィードバックやアドバイスは一切ありません。
果たして部下は、問題行動を理解し、今後の行動を自ら継続的に改善していけるのでしょうか。

指導型コーチ

指導型コーチとは、営業資材の使い方、商談時の言い回しの工夫などのダメ出しをし、自分の経験・勘・度胸(KKD)で裏打ちされた型を押し付けて指導するタイプを指します。

「あの資料のポイントは、〇〇だよ。わかる?」
「あの手のタイプは、絶対□□がはまるよ、経験的にそうだよ」
「あの伝え方は、研修で習ったのと違うよね?△△だよね!」

部下は、「はい」、「はい、わかりました」と答えるばかりになってしまいます。
自ら改善や工夫をするように促す対話ができていません。

部下育成という観点では、質問や指導は確かに大切な要素です。
一方で私たちがコーチングスキルの評価を重ねていく中では、きらりと光るコーチングを実施するマネージャーもいます。

同じコーチング研修を受講していても、コーチングスキルの評価結果に違いが出ることはよくあります。
では、どうすれば部下の育成につながるコーチングができるようになるのでしょうか?

ご参考:
「コーチが話しすぎてしまう」コーチングの問題点とは?

コーチングスキルの評価の重要性

先程ご紹介したようなコーチングの失敗を避けるためには、上司のコーチングスキルを評価し、フィードバックを実施し、研修等の改善策を実施することが重要です。

「ルーブリック」と呼ばれる評価指標を用いて、現状のコーチングスキルレベルを可視化することが可能です。そして、評価結果に基づいて、適切な質問やフィードバックの方法を学ぶなどの改善策を実行します。

基本的なコーチングのプロセスに関する研修はもちろん、スキル評価を実施し、その結果に基づいたフォローアップ研修などを行うことで、部下の成果創出につながります。

ご参考:
パフォーマンスの状態を可視化できる評価指標「ルーブリック」

コーチングスキルを評価して課題を抽出してみませんか?

マネージャーのコーチングスキルを評価できれば、コーチングの課題が明確になり、コーチングの課題をクリアすることで、チームの成長を加速することに繋がります。

あなたの会社のマネージャーのコーチングスキルの現状を可視化してみませんか?
コーチングスキル評価の詳細について、その他ご質問やご相談がございましたら、お気軽にご連絡ください。

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