ざっくりのあらすじ
1.マインドの育成は、多くの組織の課題である
2.ガニェの学習成果の5分類では、マインドを「態度」として位置づけている
3.マインドはガニェの学習成果の5分類の中で最もアプローチが難しい学習領域だが、具体的な目標設定と系統的なアプローチにより育成することは可能
4.知識・スキルの習得だけでなく、説得力のある人物の活用や代理体験など、様々な手法を組み合わせることで、効果的なマインド育成プログラムの設計が可能になる

マインド
多くの組織で、社員のマインド育成が重要な課題となっています。しかし、「マインドは生まれつきのもので育成は難しい」という意見も聞かれます。

果たして、組織におけるマインドの育成は本当に可能なのでしょうか?
このコラムでは、インストラクショナルデザインの観点から、”マインド”を育成するための5つのステップをご紹介します。

STEP 1: “マインド”の正体を「学習成果の質」で分類する

インストラクショナルデザイン(以下IDと表記)では、学習内容を「学習成果の質」という種類に分類します。代表的なモデルである「ガニェの学習成果の5分類」では、学習を以下のように分類しています。

マインドを変えるための学習は「こころ(態度)」に分類されるもので、『ガニェの学習成果の5分類』の中でもっともアプローチが難しい領域とされています。

ご参考:
社員の育成の「効率的」な設計方法とは?
指示や命令でマインドを変えるのは不可能!? 実現可能なアプローチとは?

Step 2:育成したい”マインド”を具体的な目標として設定する

マインドの育成には、まず具体的な目標設定が重要です。
例えば、「自ら学ぶ習慣を身につけて欲しい。しかも自分だけでなく、周りのメンバーも巻き込んでくれるといいな…」という願いを以下のような具体的な目標に落とし込みます。

態度の学習目標:商談スキルを向上させるための営業所勉強会を ”自発的に” 企画する

このように具体化することで、育成したいマインドが明確になります。

ご参考:
部下の行動が変わらないのは目標設定の仕方が原因? “ふわっとした目標”を具体的にする3つのチェックポイント
【リープの事例紹介】学習目標を自分でブラッシュアップしてみたら
「がむしゃらに勉強して学んで成長しろ!」上司からの叱咤激励……でも一体どこに向かって成長すればいいの?

Step 3:育成したい“マインド”に必要な知識・スキルの下位目標を洗い出す

Step 2で設定した目標(上位目標)を達成するために必要な、具体的な知識やスキル(下位目標)を洗い出します。

下位目標の例

♦態度の上位目標:商談スキルを上げるための営業所勉強会を ”自発的に” 企画する
知識(知的技能)の下位目標1:企画の運営(実践)ができる
知識(知的技能)の下位目標2:企画の立案ができる
知識(認知的方略)の下位目標3:必要な知識・スキルの習得方法が提案できる
知識(知的技能)の下位目標4:商談スキルを上げるために必要な知識・スキルが説明できる

Step 4:「マインド(態度)」にアプローチする

下位目標の知識・スキルの習得を確認できたら、いよいよ態度にアプローチです。知識・スキルの習得だけでは、必ずしも望ましい行動につながりません。

「赤信号は“止まれ”のサイン」であることを知識として知っていても赤信号で横断歩道を渡る人がいるように、必要な知識・スキルを習得していたとしても、人は必ずしも「その物事や状況を選ぼう/避けようとする」ための行動を選択するとは限りません。そのためマインド(態度)にアプローチすることが重要になります。

【マインド(態度)へのアプローチ方法の例】

学習者にとって説得力のある人物・情報源を調べる
例)成績優秀な▲▲営業所のトップパフォーマーAさん
その人物に協力してもらい、ある場面での選択行動の重要性を解説する
例)Aさんが自分だけでなく、▲▲営業所全体の成績を上げるために、どんな企画を行ったか話してもらう
他の人が、その態度表明によって得た良い結末を事例として紹介することで代理体験させる
例)営業所長から、過去に実施した営業所勉強会を企画していた経験が、新任営業所長時代にとても役に立ったことを話してもらう

練習方法としては、「この場合、あなたならどうする?」式の問題設定で、選択肢別の結末(良い結末/悪い結末など)を疑似体験させる方法があります。

Step 5:マインド(態度)育成の成果を評価する

マインド(態度)の評価は非常に難しいと言われています。アンケートだけでは建前の回答になりがちで、信憑性は低くなります。

マインド(態度)のもっとも良い評価方法は、実際の行動を観察することですが、時間と手間がかかりすぎてしまいます。そこで、IDでは、具体的な仮想場面を複数用意し、行動を選択させ、その行動をとる「意図」を説明してもらい、内容を評価することを推奨しています。

ご参考:
研修はテストとアンケートの両方でしっかり効果測定しよう!
えっ?「できる」かどうかを確かめるのが評価じゃないの…!?
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マインド育成をインストラクショナルデザインで具体化する

マインドの育成には系統的なアプローチが必要です。必要な知識・スキルを身につけた上で、適切なマインドを育成することで、行動の変容につながります。

IDの考え方を取り入れることで、抽象的になりがちなマインド育成も、具体的なステップとして設計することが出来ます。IDを活用した社員へのマインド育成プログラムの設計・開発にご興味がありましたら、ぜひリープ株式会社までお問い合わせください。

社員の持続的な成長を促し、組織全体のパフォーマンスを高めるマインド育成プログラムの導入を検討されている企業様、人材開発や研修ご担当者様からのご相談やご質問をお待ちしております。

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