2026.06.09

HPI / ビジネススキル / フレームワーク / マネジメント / 事例 / 人材育成 / 教育設計

【事例紹介】”考え方の共通言語”が、組織を次のステージへ。LTLファーマ株式会社のマネジャー育成プログラム

LTLファーマ株式会社_事例紹介
キャリア採用が中心の組織では高い専門性を持つメンバーが揃っていながら、物事の捉え方や考え方の前提が異なることも少なくありません。そして組織が大きくなるにつれて、そのズレは少しずつ「歪み」となって表れてくることも。

ロングライフ医薬品、いわゆる長期収載品の製造・販売・輸出入を主力業務とするLTLファーマ株式会社は、創立10周年を迎える今、まさに成長の節目にいます。

「会社が大きくなる前の今、人材育成に手を打っておきたい」

そう考えた同社は、現任・候補のマネジャー4名を対象に、リープのマネジャー育成プログラムを実施。フレームワークを軸とした研修は、受講者にどんな変化をもたらしたのでしょうか。そこで今回はLTLファーマ株式会社執行役員の佐藤洋一様をゲストにお呼びし、弊社の堀が対談した様子をご紹介します。

佐藤洋一様

今回お話をお伺いしたのは…

佐藤 洋一様

LTLファーマ株式会社 信頼性保証本部 本部長、総括製造販売責任者、執行役員。大学院を卒業後、国内製薬企業にて、薬事部長、臨床開発部長、プロジェクトマネジメント部門長、安全性部門長などを経験。2024年6月より現職。

堀 貴史

対談者

堀 貴史

リープ株式会社 代表取締役。外資系製薬企業などで、MR、マネジャー、マーケ・事業企画部長などを経験。東京都立産業技術大学院大学を修了し、現在は自然言語処理を用いたスキル評価や教育デザインを研究。

組織が大きくなる前の”今”、手を打つ

LTLファーマ株式会社は2016年8月に設立され、今年創立10年を迎える会社で、ロングライフ医薬品*の製造・販売・輸出入に特化しています。様々な政策により大手各社が新薬開発に舵を切っていますが、一方でロングライフ医薬品の受け皿にも一定のニーズが存在し、同社でも品目を増やしていくための組織体制や人材の確保、育成が継続的な課題となっています。

*ロングライフ医薬品…LTL株式会社では、広く患者様の治療に貢献してきた長期収載品をロングライフ医薬品と呼んでいます。

――貴社の皆さんは経験豊富でバックグラウンドが様々な方が集まっているイメージがあります。すでに経験のある方々に、今回のプログラムを実施した理由を教えてください。

佐藤様:

おっしゃる通りで、弊社はキャリア採用で人員を補強し現在約70名で会社を動かしていて、新人はほとんどおりません。大きな製薬会社ではさまざまな研修が行われていますが、弊社の規模では社内で実施するのがなかなか難しいのが現状です。

一方で、これから規模を拡大していく中で、組織の歪みが出てくることも想定されます。だからこそ、会社が大きくなる前の「今」、手を打っておきたいという意識がありました。実際には、現時点でマネジャー業務を実施している人や、今後を期待している人を選抜し、4名で受講することを決めました。リープさんには、マネジャー育成プログラムの設計・実施と受講者の評価も行っていただきました。

📋 今回のマネジャー研修プログラムのトレーニングゴール

トレーニングゴール図

バラバラな経験を束ねる、考え方の共通言語

――今回のマネジャー育成プログラムではフレームワークを中心に扱いました。経験豊富なメンバーが揃っている中で、なぜフレームワークを取り入れたのでしょうか。

佐藤様:

弊社はキャリア採用が中心ですので、メンバーそれぞれが積んできた経験も違えば年齢層も幅広く、バックグラウンドは様々です。前職であまり研修を受けずに入社された方もいますが、これから会社が大きくなれば、そういった方々にもマネジャーになってもらわなければなりません。そのため、リープさんには「共通の考え方の土台」を作ってほしいとお願いしました。

堀:

思考力や抽象的な能力を高めようとした時、「構造で理解する」以外に近道はありません。

佐藤さんがおっしゃる通りで、バックグラウンドがバラバラな組織では特に、「考え方の共通言語」を持つことが出発点になります。そのための手段として、フレームワークは最適解だと考えました。数多くあるフレームワークの中から、今回は限られた時間の中で「最もトリガーになりやすいもの」を厳選しました。さらに論理思考やプロジェクトマネジメントの考え方も加え、インプットからアウトプットまでを含む内容で設計しました。

学んで終わりにしない、アウトプット重視の設計

――実際にマネジャー育成プログラムを実施してみていかがでしたか?

佐藤様:

実務上の課題も理解していただいた上で、議論しながら計画を進めていただけたので、プログラムの内容も実践的で良かったと思います。最初から堀さんや担当の方とお話しでき、顔の見える関係で進められた点も安心できました。

今回の研修参加者は部署横断的に参加しており、レベルにばらつきがありましたが、こちらのニーズを勘案し、全員が付いていける内容としつつ、弊社が期待するレベルで実施いただいたと評価しています。スキルパレットも活用しましたが、講義動画をいつでも見返せるのは良かったですね。

育成プログラムに関わったリープの担当者とともに(中央が佐藤様)

育成プログラムに関わったリープの担当者とともに(中央が佐藤様)

――スキルパレットは、具体的にどのように活用したのでしょうか?

堀:

今回のプログラムのコアは、「学んだことをアウトプットする」ことに置いていました。そこで、研修の事前課題や事前の資料送付、研修動画の振り返り視聴や質疑応答という使い方のほか、アウトプットとしてのプレゼン動画の投稿と上長とのコミュニケーションにもスキルパレットを活用いただきました。

🖥 LTL株式会社様 マネージャー育成プログラム 学習の進め方

学習の進め方

堀:

受講者それぞれが個人ワークとして、それぞれの実務上の課題をフレームワークで整理し、事後課題でプレゼンテーションにまとめ、それを録画してスキルパレットにアップロード。その内容に対して、弊社からフィードバックをお届けしました。このフィードバックは、プレゼンテーションの出来映えを評価するためではなく、「どう考えたのか」という思考プロセスそのものに向けたものです。スキルパレットは、動画を本人が振り返ったり、上司と共有してコーチングに活用したりと、学びを継続させるための様々な使い方ができます。

🖥 スキルパレットを活用した学びの支援

SkillPaletteを活用した学びの支援

佐藤様:

普段プレゼンを実施しない業務についている人でも、プレゼンをやってみたら色々と気づきがあったようです。伝えることの大切さ、きちんと説明しなきゃいけないんだな、と改めて気がついてもらえたかなと思います。また、研修を通じて、普段ではなかなかわからないメンバーの能力が見えてきたことも、大きな収穫でした。

3ヶ月後、現場で起きていた変化

――研修が終わって現時点で3ヶ月ほど経ちますが、受講された皆さんの行動や意識に、何か変化は見られますか?

佐藤様:

じわじわと良い変化が起きはじめていると思います。まず、プログラムの最後に紹介してもらった、プロジェクトマネジメントの本を、実際に買って読み始めているメンバーがいました。実務での成果に結びつくのはこれからかもしれませんが、意識のベクトルが変わり始めていることを感じます。

もう一つ、印象的なエピソードがあります。

経理担当のメンバーが、今回学んだ特性要因図や因果関係図を使って社内の課題を整理し、新しい経理システムの導入について提案書をまとめ、上司に直接提案を行いました。最終的には「お金をかける前にできることがある」という話になりましたが、大切なのは、課題をきちんと捉えて「議論のテーブルに乗せられた」ことだと思っています。そもそも課題認識がズレていたら、その議論にすらなりません。

――研修で学んだことが、実際の業務提案に活かされたわけですね。

佐藤様:

そうですね。今は決算で忙しい時期でもありましたので、もう少し落ち着いたら、また挑戦してみたいと言っていました。今回のプログラムを通じて、系統立てて考えられるようになったのではないかと思います。

堀:

課題認識を上司と一緒に持てたというのは、非常に大きなことだと思います。解決にお金をかけるかどうかはあくまで会社の判断ですが、現場から課題を正しく捉えて提案できること自体が、研修の成果として表れていると感じます。

佐藤様:

さらにもう一つ、経営・組織としての視点から大きな変化だと感じていることとして、「部署を超えたインフォーマルな信頼関係」ができたことです。受講した4名も普段は勤務しているフロアが異なり、これまでは仕事以外の話をする機会がほとんどなかったと思います。そんな彼らが、プログラムを通じてお互いの悩みや考え方に触れたことで、横のネットワークができつつあります。組織の活性化という意味でも、非常に価値のある副次効果でした。

📘 関連記事

今回の研修プログラムを通じて生まれた「横のつながり」はワークプレイスラーニングにも通じるものです。
▶ 「研修」と「現場」の垣根をなくすワークプレイスラーニング

“数ミリの変化”を、見逃さない

――研修後のフォローアップについては、どのように考えるとよいでしょうか。

堀:

私は「動機づけ」を行うことが効果的だと考えています。

まずは学んだことをリマインドしてあげることから始めてみると良いと思います。例えば、「意識が変わったよね」「使う言葉が変わったよね」という一言をかけてあげるだけでも、社員の学びへの意欲が変わります。変化したことを、本人が気づいていないケースもあると思いますが、その場合は少し距離のある立場の人が気づいてフィードバックしてあげるというのも有効です。例えば、たった数ミリ程度の変化だったとしても、その数ミリに対して「変わったよね」と言ってあげる。それが動機付けになると考えています。

佐藤様:

前職で部長をしていた時に、現場のメンバーから少し距離があったのですが、3ヶ月に1回くらいのペースで1on1の面談をしていました。そのくらいの頻度で会うと、前回からの変化がよく見えるんですよね。直属の上司は毎日見ているから気づきにくいことも、少し距離のある人間には見えやすいのだと私も思います。上司としてフィードバックする機会を意識的に持たないといけないなと思っています。現在は定期的な1on1の文化がないので、これから考えていきたいと思います。

見られている緊張感と、見てもらっている幸せ

――最後に、これから社内での教育や学びがどうなっていってほしいか、またどのような人材を求めているかお聞かせください。

佐藤様:

遅ればせながらAIを使っての業務に取り組んでいますが、あまりの凄さに日々驚かされています。そんな世の中で大切になってくるのは自分で考え、成長し、挑戦して諦めずにやり遂げられる力をつけていくことだと思います。

私をはじめ、組織の上位者がそういう態度を示すことも大切ですので、上位者としても学び続けていきたいと思います。職制に関係なく、リーダーが周りに良い影響を与えながら会社として成長していくことが大切だと考えています。以前から大切にしていた「見られている緊張感と、見てもらっている幸せ」——そのどちらも感じられる組織にしていきたいですね。

――今回は、色々なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

まとめ:フレームワークが生む「共通言語」の力

今回のLTLファーマ株式会社様の事例が示すように、バックグラウンドの異なるメンバーが揃う組織こそ、「考え方の共通言語」を早期に整えることが、組織の成長を支える土台になります。

リープでは、今回ご紹介したようなフレームワークを用いた育成プログラムの設計・実施はもちろん、インストラクショナルデザインHPIといった理論に基づき、組織教育のニーズ分析や商談の対話分析、戦略理解度調査など、幅広い企業の人材育成をご支援しております。

「同じ課題がある」と感じた方は、ぜひリープにご相談ください。
貴社の状況に合わせた育成プログラムをご提案します。マネジャー育成や組織の土台づくりについて、一緒に考えていきませんか?

お問い合わせはこちら

その他の事例や人材育成に関する理論などを、リープのコラムページでご紹介しています。
リープのコラム一覧を見る →