用語集

完全習得学習

概 要

この方法はベンジャミン・ブルームらによって提案され、学校学習の時間モデルに基づいています。この手法では、一斉学習の中でも個人の学習ペースに合わせ、基礎学習を完全にマスターしてから次の段階に進むことが重視されます。

手順としては、まず事前に学習目標と最低限の到達基準を明確に設定します。その後、一斉授業の適切な時期に形成的なテストを実施し、その結果を利用して学習者の目標達成状況を診断します。そして、テストの結果に基づいて、学習者ごとに適切な治療的な指導を行います。この方法により、個別の学習ニーズに柔軟に対応し、より効果的な学習を促進することが期待されます。

解 説

1.学習単元の目標の明確化: どのような学習単元であるかに関する達成すべき目標群を詳細に明らかにします。
2.最低到達基準の設定: すべての学習者が達成すべき最低到達基準(マスタリー基準)を定めます。これは、学習の最低ラインを示し、全体の理解度を確認するのに役立ちます。
3.形成的テストの作成と利用: 各目標がどれだけ達成されているかを確認する形成的テストを作成し、それを使用します。
形成的テストは学習者の理解度を把握する手段として活用され、各目標の達成状況を明らかにします。
4.治療的指導と教材の準備: 各目標が未達成である場合に、学習者に提供すべき教材や治療的指導について準備します。学習者ごとに個別の課題やニーズに対応するため、細かな調整が必要です。

この手法に基づく治療的指導は以下の4つに分かれています。
A. 再学習: 同じ課題をもう一度学習させる。再学習が必要ない場合には、深化学習を組み合わせることも検討されます。
B. 補充学習: 各学習者が目標達成の不足している部分に対して補充的な学習を行います。不必要な場合は再学習と同様に深化学習を検討します。
C. 学習調整: 教授や学習活動の進捗、テンポ、方向を個別の学習者に合わせて調整します。
D. 学習分岐: 学習者の適性や前提能力に基づいて、異なる学習課題(発展学習)を与えて、個々のニーズに対応します。

これによって、学習者ごとに異なるニーズに柔軟に対応し、効果的な学習環境を提供することが可能となります。

参考文献

鈴木克明監修 市川尚・根本淳子編著 「学びやすさ」の道具 インストラクショナルデザインの道具箱101 p 88