用語集

資金調達3モデル

概 要

研修部門をROI視点で見たときに、部門全体のコストに見合う貢献ができているかどうかを測り、研修部門があるべき姿において3つのモデルにて比較している状態のことを指します。

解 説

3モデルの概要、長所、短所について以下に示します。
・経費配分モデル
概要:最も多い伝統的モデルで、経費は組織の管理費として一定額を計上した年間予算で運用する。研修ニーズ調査に基づかずに予算が決定される場合が多く、前年度踏襲プラスαの予算内での活動に制限される。人員等の経費も固定とみなされ状況変動に対応した増減は困難。
長所:運営の基盤が安定的で予測可能。営業する必要はない一方で、組織内のニーズに対応することはできる。研修プログラムの継続性が担保できる。
短所:柔軟性がない。ニーズが発生しても他の研修を犠牲にするか特別予算を要求する必要がある。マネージャーは役に立たないことに管理費を充てることに消極的になっている。現状の研修にニーズやベネフィットがあるかどうかを再検討する必要がない。年間予算獲得の理由づけが求められるため新しい革新的な取り組みに消極的になる。ラインマネージャーのニーズに応えようとする研修部門スタッフが報われない。
・コスト回収モデル
概要:受講者や派遣部門から受講料を徴収するモデルで、研修部門が一つの経営体とみなされ、経費に見合う(あるいはそれ以上の)回収が求められる。最近大企業で採用されることが多くなった方式で、研修を従業員に売ることによる経費補填以外は受益者・部門からの収入で賄う。
長所:経費の権限をマネージャーにある程度与え、部下が利用するサービスにのみ支払える。マネージャーのニーズを満たす研修開発に集中できる。経費配分をある程度得ることで定常的な研修を維持できる。受講料で賄える範囲でのスタッフ増員が可能。マネージャーの求めに応じて開発する研修内容や開講の時期や頻度が選べる。
短所:研修を組織内にPRする必要が生じる。経費配分モデルのような安定性がない。組織内の誰がどの研修を受けたかの管理が煩雑になり、受講履歴管理システムが必要となる。PRからベネフィットを出すまでに要する時間が長いため、途中で変更があった場合に財務的問題が生じやすい。
・利益部門モデル
概要:組織内外の受講者に研修を販売することで利益を確保するモデルで、多くの企業内大学が採用しているモデル。組織からの経費配分はなく、他組織の従業員や一般の受講者も迎えて研修を行う。研修価格は他の研修ベンダーとの競争になる。
長所:従業員教育と利益追求の両面に関心を寄せる経営。トップにとって魅力的。受講者のニーズに合致する研修であることをほぼ保証する(合致していなければ応募者が集まらない)。研修部門が高い柔軟性を持ち、集客・収益が得られるメニューを揃えられる。
短所:ニーズや有用性よりも人気に目が向きやすい。必須の開発課題(リーダーシップや管理力研修など)に取り組む強制力を持たない。悪用されやすい(研修部門が経営トップの点数稼ぎに走り特定の内容にフォーカスしすぎる危険がある)。費用を抑える努力に対する報賞がない。

参考文献

鈴木克明 (2015) 研修部門をアピールする 研修設計マニュアル 北大路書房 p225-226