用語集

HPI

概 要

「Human Performance Improvement(ヒューマン・パフォーマンス・インプルーブメント)」の略で、アメリカの人材開発協会(ATD)やパフォーマンス向上国際学会(ISPI)などが推奨している、組織の経営課題を人材のパフォーマンス(行動・成果)の視点から捉え、システム的に解決するための成果創出フレームワークです。

解 説

HPIでは、「研修を行うこと」を目的とせず、ビジネスゴール(事業目標)の達成から逆算して必要な施策を決定します。具体的には以下のステップで進められます。

ビジネス分析
組織が達成すべきビジネスゴールや経営課題を明確にします。

パフォーマンス分析(ギャップ分析)
ビジネスゴールを達成するために社員に求められる理想の行動(パフォーマンスゴール)と現状とのギャップを特定します。

要因分析
ギャップが生じている要因を探ります。原因は「知識・スキル不足」だけでなく、「ツールや環境の不備」「業務プロセス」「上司からのフィードバック不足」「評価・報酬制度の問題」など多岐にわたります。実際のところ、知識・スキル不足が原因である割合は約18%にすぎないとも言われています。

介入策の選択と設計
「知識・スキル不足」が要因であれば研修などの「教育的介入(ID:インストラクショナルデザインの活用)」を行い、それ以外であればツールの導入や業務改善などの「非教育的介入」を行います。

実施と評価
施策を実行し、ビジネス成果につながったかを評価してPDCAを回します。

多くの企業で「研修をやっても現場の行動が変わらない」という課題がありますが、HPIの視点を持つことで「そもそも研修で解決すべき課題なのか」を見極め、真に成果につながるアプローチを選択できるようになります。

用 例

・研修担当

営業部門から「若手の提案力を上げるために、とにかく新しい営業スキルの研修をやってほしい」と強い要望が来ています。すぐに外部講師を探して企画すべきでしょうか?

・研修部部長

少し待って。現場の要望通りに研修を実施しても、実際の成果につながらないケースが多いんだ。そこで「HPI」の考え方を使ってみよう。

・研修担当

HPIですか? どのようなものでしょうか。

・研修部部長

「Human Performance Improvement」の略で、ビジネスの成果から逆算して課題を解決する手法だよ。若手の提案力が上がらない原因は、本当に「知識やスキルの不足」だろうか? もしかしたら、提案用のツールが使いにくかったり、上司からの適切なフィードバックが足りていなかったりする環境のせいかもしれないよね。

・研修担当

なるほど……。もし原因がツールや環境にあるなら、いくら研修をやっても提案力は上がらないわけですね。

・研修部部長

その通り。HPIのフレームワークを使って、まずは営業部門が目指すビジネスゴールと現状のギャップを分析し、要因を特定しよう。研修(教育的介入)で解決すべき課題と、現場のマネジメントや環境改善(非教育的介入)で解決すべき課題を切り分けて、本当に成果につながる施策だけを提案するんだ。