「Positive Learning Environment」の略で、組織や職場が学習に対して肯定的であり、学びを推奨・支援する風土や土壌を持っているかを示す概念です。トレイシー(Tracy)氏などが提唱し、トービン(Tobin)による「職場が肯定的学習環境かどうか見きわめるための30の指標(PLE 30)」などが測定ツールとして知られています。
用語集
PLE(肯定的学習環境)
概 要
解 説
人材育成において、研修で学んだ知識やスキルを実際の職場で行動として発揮(カークパトリックの4段階評価の「レベル3:行動」)させるためには、職場側の要因(学習環境)が大きく影響します。そのため、個人のスキル評価(ルーブリックなど)と並行して、組織の学習環境(PLE)を評価し、改善していくことが重要とされています。
・PLE 30(30の指標)による測定 「失敗が教育とみなされるか」「提言が歓迎されるか」「適切な場面で研修が奨励されるか」といった30項目について、アンケート方式(イエス/ノーなど)で現状を可視化します。
これにより、経営層から一般社員まで、すべての社員がビジネス目標達成のために学習する体制にあるかを測ることができます。
・介入と改善のアプローチ
アンケート結果から、「現場と学習の統合要素が不足している」などの課題を特定し、上司(マネージャー)や役員も巻き込んだ介入策(フィードバックの習慣化やコーチングの導入など)を行います。
・X社の活用事例
営業職場においてPLE 30を用いた学習環境の評価を実施し、スコアが低い項目に介入しました。育成担当者が徐々に支援を減らし(フェーディング)、現場のマネージャーが主体となって育成プロセスを回す自律的な学習環境を構築した結果、学習環境全体が改善し、個人のスキルレベル(ルーブリック)も向上しました。結果として、年平均18%の成長というビジネスの成果(レベル4)に貢献しています。
用 例
・研修担当
先月実施した新しい業務プロセスの研修ですが、現場に戻ると「忙しくてそれどころじゃない」「今までのやり方を変えるのは面倒だ」と言われてしまい、学んだことが全く実践されていないようです。
・研修部部長
それは個人のやる気やスキルの問題ではなく、職場の「PLE(肯定的学習環境)」が整っていないことが原因かもしれないね。
・研修担当
PLEですか?
・研修部部長
そう。「Positive Learning Environment」の略で、失敗が許容されたり、新しい学びや改善提案が推奨されたりする職場の風土のことだよ。いくら研修で良い種をまいても、現場の土壌がカチカチでは芽は出ないだろう?
・研修担当
たしかに、今の現場は目の前の業務をこなすことで手一杯で、新しい学びを支援・歓迎する雰囲気はないかもしれません。
・研修部部長
人材育成を成果につなげる(レベル3の行動変容を起こす)には、個人のスキルを測るだけでなく、職場環境を「PLE 30」のような指標で測定し、学びを促進する環境へ改善していくアプローチが不可欠なんだ。次は現場のマネージャーを巻き込んで、学習環境の改善施策を考えてみよう。