あなたの話は本当に伝わっていますか? ~対話のルール編~

パフォーマンス評価・設計, ビジネススキル, 人材育成, 商談力, 営業力強化, 対話の構造

「この前も言ったでしょ!何度言わせるの!!」
「言ったじゃないか!何度同じことを言わせるんだ!!」

このような言葉を口に出すことは難しくなった昨今ですが、心の中ではこのような言葉を叫びながら
「一生懸命伝えているのに…なぜわかってくれないんだろうか? なぜ伝わらないのだろうか?」
と悩んでいらっしゃる方も少なくないのではないでしょうか?

実は、私たちが何気なく使う対話にも、“ルール” が存在するのです。
ルールを知れば、あなたの言葉はきっと相手に伝わります!

対話にもルールがある

ルールをご紹介する前に、次の事例を少し考えてみてください。

つい先日に閉幕した冬季オリンピック。

解説を務めたTVアナウンサーは、五輪史上初となる大技のフロントサイドトリプルコーク1440(斜め軸に縦3回転、横4回転)を決めた平野歩選手の演技に、「人類史上最高難度のルーティーンだ!」と叫び、
あらためて
「今、現状で考えうる、人類ができる最高難度のトリック、ルーティーンです」
と解説していました。

なぜ、アナウンサーは、人類史上最高難度の演技であることを日本中の視聴者に向けて“堂々と”言葉にでき、
なぜ視聴者であった皆さんはその言葉を“正論”であると認識し、“合意”することができたのでしょうか?

その答えは、ルールの存在です。

ハーフパイプという競技を始める前に競技ルールが決定され、その競技に参加するすべてのプレイヤーに承認され、そのルールに則ってプレイされていたからこそ、そこで繰り広げられた技が有効で、高難易度で、他の選手を上回るルーティーンで、その得点がどの選手よりも高い可能性があることを判断し、「人類史上最高難易度のルーティーンだ」と主張でき、その言葉を聞いた視聴者らがそれに合意した訳です。

対話のルール:「事実」「主張」「理由・妥当性」

人は自分の意見を言ったり、主張したりする場合には、その発言の裏付けとなる “理由・妥当性” を示し説明します。なぜなら、根拠となる理由を示さないまま主張だけを繰り返しても、その主張の妥当性は高まらないからです。

つまり、対話において“「事実」「理由・妥当性」「主張」の整合性をとること”が、主張の妥当性を担保するためのルールなのです。

対話のルールを認識するために、よくある対話を2つの事例から考えてみましょう。

事例 A)
部長:「彼はなぜ今日のミーティングに出ていなかったんだ?」
課長:「風邪だそうですよ」

このような対話は、一般的に頻繁に起きています。この対話は、間違っているわけではないのですが、対話のルールという点で見てみると、少し妙な点があります。

部長の言葉は、「彼がなぜ会議に出席していなかったのか?」という“理由”を確認しています。ところがどうでしょう。課長は、何を説明したでしょうか?

先ほどの事例をもう少し考えてみましょう。

事例 A’
部長:「彼はなぜ今日のミーティングに出ていなかったんだ?」
課長:「風邪だそうですよ」
部長:「大切なミーティングなのだから薬を飲んで、出社させるべきでなかったのか?」
課長:「高熱らしいです」
部長:「熱があったって出社できるだろう?」
課長:「彼は、病気ですよ!」
部長:「そんなことはわかっている、私が知りたいのは、出社できない理由だ」
課長:「わけのわからないことを言わないでください」

この対話は、“事実”と“理由・妥当性”の関係を誇張して表現しています。
「風邪をひいたので休む」というのは日常的な対話ですので、成立しないことに違和感があるかもしれません。
しかし、ビジネスの場面においてこのような、“理由になっていない「理由」”(「事実」の羅列)や、“ちぐはぐな「事実」「主張・結論」「理由」”が原因で対話が成立しないことは、実は頻繁に起きています。

皆さんもお気づきのように、後半の対話例では “事実”と“理由・妥当性”の関係性だけではなく、前提である「事実・事実情報」として部長と課長の“ミーティングにこの社員が出席することの価値感” にも考え方の違いがありそうです。特にビジネスコミュニケーションでは、この点にも注意が必要ですね。

主張を繰り返しても伝わらない

対話の構造を理解して、“事実” に対する “理由・妥当性” を、両者の共有のものとして合意できたときに、あなたの“主張”は相手にも納得できるものになります。

「この前も言ったでしょ!何度言わせるの!!」
「言ったじゃないか!何度同じことを言わせるんだ!!」

感情的になる前に、今一度、あなたの対話の論証構造を振り返ってみると、家庭・職場・お客様と商談など、いろいろな場所で良い事があるかもしれませんね!

本記事でご紹介した「対話のルール」は、相手に伝える・意思疎通をするためのスキルを鍛えるために重要な考え方の一つです。

このような対話スキルは「ルールや原理、概念を理解して新しい問題に適用する」性質のスキルですので、インストラクショナルデザインの『学習成果の5分類』の考え方における “知的技能”にあたります。

「自身の対話スキルを鍛えたい」、「部下の対話スキルを向上させたい」という方は、ぜひ知的技能の性質についての記事も参考にしてみてください。

参考記事実務スキルってどうやったら最速で鍛えられますか?

ビジネスに役立つ対話の構造をもっと詳しく学んでみたい!という方は、弊社の提供するトレーニング「論証構造(トゥールミンロジック)」を覗いてみてくださいね。

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