パフォーマンスの状態を可視化できる評価指標「ルーブリック」

ギャップ分析, パフォーマンス評価・設計, 人材育成, 学習課題分析, 教育設計, 教育評価



あらゆる問題解決において、「あるべき姿」と「現状」とその「GAP」を正しく捉えることは基本中の基本です。
人材育成の場面においてもそれは同様なのですが、どのような人材を育成するべきか(あるべき姿)、現状のレベルはどこか(現状)がよくわからないので育成の仕方(GAPの解決方法)もわからない、という状態は往々にして起こり、実際このようなお悩みを抱えている企業様がたくさんいらっしゃいます。
実はそんなお悩みにうってつけのツールがあるのです。

パフォーマンスの状態を可視化し、効果的な育成が実現できる
「ルーブリック」

「ルーブリック」という言葉をご存知ですか?
ルーブリックとは、主に教育の場面で用いられる評価手法の一種で、学習者の理解度や技能の到達度を測るための指標です。
実はこれ一つで、“あるべき姿と現状のGAPを正しく捉える”ことができてしまうのです!


上記は、営業担当者の商談スキルを評価するためのルーブリックの一項目です。
“本日の訪問の目的を明確に伝えて、商談する意義を感じさせる”という評価項目に対して、レベルが1~6まで設定されていて、
各レベルの評価基準が明確に示されています。
このように、評価項目とその評価基準を明確に定義したものをマトリクス表で示した評価指標が「ルーブリック」です。
⋙ルーブリックの詳細についてはこちら

これひとつであるべき姿と現状が明確!GAPの解決に役立つ!

では、このルーブリックを用いてどのようにあるべき姿と現状のGAPを捉えるのかを見ていきましょう。

あるべき姿の可視化

・先ほどの 営業担当者の商談スキル評価項目 の例では、レベル6の「顧客にとって潜在的な課題が問題提示されており、
興味を引きつけていた。」ことが一番高レベルのあるべき姿であることが明確化されています
・必ずしも最高レベルをあるべき姿とする必要はなく、目的や学習者の状況に応じて設定する事ができます
(例:新人の目標をレベル3に設定する)

現状の的確な把握

・評価基準が明確であることにより、評価者によって評価がぶれることが少なくなり、的確に現状を把握することができます
・指導者によって評価目線がずれないだけでなく、学習者の自己評価にも用いることができます

育成ツールとして

・評価項目と評価基準が明確であることから、指導者によって指導のポイントが統一でき、公平なフィードバックに役立ちます
・段階的にレベル(到達度)が示されていることで、次の目標設定がしやすくなります
(例:最終目標が4点、現状が2点であれば、次の目標に3点を設定する)

いかがでしょうか?人材育成にとても役立ちそうではありませんか?
GAP分析テクノロジーについてはこちら

ルーブリックを使う理由はたくさんある、使わない理由は
「知らないこと」だけ

『大学教員のためのルーブリック評価入門』という本に、次の一説があります。
(“教員”は指導者に、“学生”は学習者に読み替えていただければと思います)

ルーブリックは時間を節約し、タイミング良く、意味のあるフィードバックを学生に返すことができ、教育・学習の過程において効果的な役割を担う可能性がある。実際、ルーブリックをあまり使わない主な理由は、単に教員の多くが「その存在」を知らないというだけである。「教えられたようにしか教えられない」というのはよくあることだが、教員は学生時代にルーブリックを経験していないのだ。
しかしながら、ルーブリックを使う理由はたくさんある。時間を効率的に使えるという点や教育手法としての素晴らしさといった点以外にも、平等性や公平さという基本的な原理もその理由となる。
出典:ダネル・スティーブンス+アントニア・レビ 著,佐藤浩章 監訳 井上敏憲+俣野秀典 訳, 『大学教員のためのルーブリック評価入門』(玉川大学出版部, 2014, p.13)

例えば、弊社が導入を支援させていただいたいくつかの企業様では、商談スキルのルーブリックを作成し、課題の発見や、スキルの育成にご活用いただいているのですが、以下のようなお声もいただいています。

~お客様の声~
・これまで経験則だったものがあるべき姿として可視化、形式知化されて整理して理解できた
・指導者の感覚ではなくルーブリックをもとにした客観的なフィードバックができるようになった
・商談が終わった後に自然に、メンバー同士が「ここの項目がどうだった」と振り返るようになった
・あるべき姿が言語化されているので、商談の準備の仕方も変わった

実はこのブログを書くにあたっても、社内にブログ執筆用ルーブリックを用意して、構成や内容の評価をしながら記事を作成しています。
私自身、つい、あれもこれも書きたくなったり、書いているうちに目的を忘れがちになったりしてしまうので、セルフチェックに
とても役立っています。

「あるべき姿」と「現状」を可視化し、育成ツールとしても有用なルーブリック、知ったからには使わない理由はありません。
ルーブリックについてもっと知りたい!
作成したいがどう設計してよいかわからない…
といった際には、弊社にお気軽にお問い合わせくださいませ。

ぜひ、あなたの職場や職務のルーブリックを作ってみませんか?

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