「リスキリング」をしないのは「リスキー」です
世界的に「リスキリング」という言葉が話題になっています。日本では2021年頃からよく耳にするようになってきました。
では、「リスキリング」とは一体どのようなもので、どのように企業内で進めていけばよいのでしょうか。
記事後半では、4ステップの手順例も記載しています。
「リスキリング」の施策を実施する際のご参考にしていただければと思います。
「リスキリング」とは?人的資本経営との関係
「リスキリング」は英語で、”Reskilling“と表記します。技術取得という意味の “Skilling“に、再びという意味の ”Re” がついているので、日本語で「再技術取得」のように訳することが出来ます。
日本では、経済産業省が「リスキリング」を下記のように示しています。
「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」
出典:リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_jinzai/pdf/002_02_02.pdf
経済産業省の資料からは、すべての働く人が「リスキリング」の対象になる、と読み解くことが出来そうです。
また、同じく経済産業省からは「人材版伊藤レポート」という人的資本経営についてのレポートが出ています。そのレポートの中にも「リスキリング」に関する記載があり、重要視されていることが伺えます。 また、DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中、DX人材を育成するために「リスキリング」を行う企業が多いようです。
ご参考記事:
■人的資本経営の視点から考える「戦略的な人材育成」
世界が注目する「リスキリング」が生まれた背景とは?
世界的に「リスキリング」の必要性が叫ばれている背景として、世界経済会議(ダボス会議)において、「第4次産業革命により、数年で8000万件の仕事が消失する一方で9700万件の新たな仕事が生まれる」と予測されており、「2030年までに全世界で10億人をリスキリングする」という宣言が出されていることが挙げられます。
つまり、「これまでのスキルしかなければ、仕事を失う可能性がある」また反対に「新しいスキルを取得すれば、新たな仕事に就くことが出来る」ということを意味しています。
VUCA(予測不可能な時代)に突入し、技術の進展も非常に早くなっています。5年前に当たり前だったことがすでに古いと感じているのは、筆者だけではないと思います。
これまでの経験やスキルは大切ですが、それだけでは太刀打ちできない場面に遭遇することが多くなっている、そんな時代。
「リスキリング」はすべての人に必要です。
ステップ・バイ・ステップで進める!「リスキリング」
「リスキリング」はステップバイステップで実施していきましょう。
企業で「リスキリング」を行う場合の手順の例をご紹介します。
STEP1:社員のスキルを可視化する
STEP2:学習プログラムを用意/提供する
STEP3:学習のサポートをする
STEP4:スキルを実践してもらう
STEP1:社員のスキルを可視化する
現在有している社員のスキルと、これから必要となるスキルをまずは明らかにします。現時点で、社員がどのようなスキルを、どのようなレベルで持っているのかを明らかにすることで、今どのようなスキルを組織で保有しているのか、またどのようなスキルが不足しているのかが明らかになります。その結果から、スキルマップの作成や、ギャップ分析を実施します。「足りないスキルが何かを明らかにし、どのように埋めていくのかを計画する」ここまでが、STEP1になります。
社員の現在のスキルを確認するために、ルーブリックを使用してスキルの可視化をすることも有用です。
STEP2:学習プログラムを用意・提供する
STEP1で明らかになった、不足しているスキル・新たなスキルを習得するための学習プログラムを用意・提供します。学習プログラムは、社員に自由に選ばせるというよりは、各社員が持つべきスキルが何なのかを明らかにしたうえで教育を実施する方が効率的です。また、インストラクショナルデザインを用いたプログラム設計をすることで、社員が効率的に学ぶことが出来ます。
ご参考記事:
■教育設計の本質を突く!メーガーの3つの質問
■社員の育成の「効率的」な設計方法とは?
■そのトレーニング、過保護になっていませんか?
■社員の育成の「効率的」な設計方法とは?
■育成や学習がうまくいかないのは「目標に問題アリ」かも!?
■eラーニングは孤独!? オンラインでの学びを支援するために
STEP3:学習のサポートをする
学習プログラムを提供したら、学習の進捗を確認し、更に社員の学習の学びを促進させていきます。「いつまでに〇〇を学ばせる」という学習の管理だけではなく、社員の理解度や学習到達度を把握することが大切になります。 LMS( Learning Management System)やクラウドなどのツールを利用して学習サポートをする企業が多くなっています。リープ株式会社では、営業担当者の学習プラットホームとしてクラウドで学習の進捗管理やサポートができるSkillPaletteをご用意しています。このようなプラットホームを活用して、上司からのコーチングなどがあるとさらに社員の学びが加速します。
STEP4:スキルを実践してもらう
最後のステップでは、学んだことを社員に実践してもらう場を設けます。これから新しく生まれる仕事に必要なスキルを身に着けてもらった場合は、「仕事としてはまだ存在しないため、実践する場面がない」という可能性もあります。
スキルの実践は実際の仕事の場面に限らず、ロールプレイ等、仮の場面設定をして実践してもらう事でも問題ありません。実践してもらった後は、学習の成果をしっかり評価します。評価方法については、下記のご参考記事もご覧ください。
ご参考記事:
■研修はテストとアンケートの両方でしっかり効果測定しよう!
■「学びになった!(by受講者)」で研修成功?研修効果を適切に測り成果を可視化!
■パフォーマンスの状態を可視化できる評価指標「ルーブリック」
まとめ
「リスキリング」が叫ばれている背景や、企業内で「リスキリング」を進めていく手順の例をご紹介させていただきました。
「リスキリング」を構造的に捉え、インストラクショナルデザインを取り入れることで、効果的・効率的・魅力的な学習を実現させることも可能です。社員の「リスキリング」についてのご相談などございましたら、リープ株式会社までお気軽にお問い合わせください。