プロジェクト全体の質を高める情報伝達手段

ビジネススキル, 営業力強化

来期の予算の振り分け、研修や人材育成のブラッシュアップを考えるとき、自社では補いきれない部分をいかに外部ベンダーと連携するか。この課題を、皆さんはどう乗り越えていますか? 判断を間違えば、ビジネスゴールやパフォーマンスゴールに関わるだけでなく、自身の評価にも大きく関わるがゆえに真剣に悩まれている方が多いかと思います。

会場手配などロジ周りの委託、外部講師を迎える、評価・分析の委託、人材開発のコンサルを受けるなど、外部ベンダーがうまく活用できれば、皆さんの業務効率の改善につながることは間違いありません。

もちろん一方で、「思うように成果が出ず、投資分のリターンがなかった」「一から十まで説明が必要で、かえって手間取った」などという苦い経験から、活用を躊躇される方もおられるかと思います。

そこで今回は、的確にスムーズな取引をするために欠かせない『RFP(提案依頼書)』 について解説してみたいと思います。

RFPとは

RFPとは、「Request For Proposal」の略で、「提案依頼書」とも呼ばれます。
ベンダーから良質な提案をもらうための情報伝達手段であり、プロジェクト全体の質を高めるために欠くことができません。

システム導入や業務委託に際し、ベンダーに「○○したいので最適な提案をください」と依頼するために、

・何をしたいのか(業務要求、技術要求、運用要求)
・いくらでしたいのか(予算)
・いつまでにしたいのか(納期、スケジュール)

を明示することが重要です。

それでは次に、RFPのメリットを見ていきましょう。

RFPの特徴と4つのメリット

①より良い提案を受けられる可能性が高まる
発注者はまだ具体化されていない要求であったとしても、要求の概要を文書化することによって、ベンダーに対して「何をしたいか」を明確に伝えることができ、良い提案を受けられる可能性が高まります。また、自社内だけでは、システムの専門的な知識に乏しく、最先端の技術を選択することは難しいですが、システム開発会社から知識を補うことができます。仮に、要求外の提案も受ける余裕があると伝えれば、軸となる要求を満たしたうえで、発注者側が知らなかった技術を利用したより良いシステムを目指すことのできる可能性もあります。

②社内検討の際、提案力のあるベンダーを見極めやすくなる
候補となっている全システム開発会社に同じ内容のRFPを出すことによって、各システム開発会社からの提案に大きなブレがなくなり、適正価格の相場が分かり、コンペを行う際には提案力のあるシステム会社を見極めやすくなります。

③予算とスケジュールが妥当か確認しやすくなる
見積書によって発注者が設定していた予算が妥当かどうか、また、納期や作業スケジュールに無理がないかどうかを確認できます。場合によっては、予算の見直しやスケジュールの再検討が必要になることでしょう。

④認識齟齬がなく期待通りのシステムが導入できる
近年、情報システムで処理する業務が増え、構造が複雑化し、口頭の説明だけでは抜け漏れや認識相違が発生することもありますが、RFPがあれば期待通りのシステムを導入することが可能になります。

具体的に研修目的のRFP作成のポイントについても解説してみたいと思います。

研修目的のRFP作成のポイント

1.基本情報を整理する
研修受講者についての基本情報(人数、職務経験、保有資格)をまとめます。研修期間、回数、総時間、タイムライン、予算感も整理しましょう。予算提示に抵抗のある方もいますが、どんなに魅力的な提案でも予算オーバーでは依頼できません。あらかじめ予算を明確に提示すれば、予算内の提案がされるため、懸念や手戻りもなくスムーズに検討に入れます。

2.「なぜ、研修が必要?」を明確に
現場の問題をまとめ、研修の必要性が分かるようにしましょう。たとえプロでも、組織の内情まではわかりにくいからです。具体的なエピソードがあるとイメージしやすく、現場の問題解決に適した研修提案がもらえます。

3.目標を設定する
習得・向上させたい知識、スキル・マインド、研修後に期待する職場での行動変容、具体的なKPI要素(中間目標など)これらがあると、ベンダーも提案に反映しやすいです。研修の効果検証や良し悪しを判断するときにも役立ちます。

4.受講者に適した研修方法を考える
ロールプレイ、グループワーク、講義、eラーニングなど、受講者に適した研修方法を把握します。その上で、制約条件などを考慮して、現実的に実施可能な研修方法を確認しましょう。

まとめ

明確なRFP作成は意外と難しく、ベンダーも依頼者との打ち合わせで、どれだけRFP要素を明確にできるかが腕の見せ所となっております。

「RFPを自分だけで考えるのは難しい」と感じたら、問題を一緒に整理し、RFP作成まで支援してくれるパートナーとなるベンダーを探してみてください。

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お困りごとがございましたら、お気軽にリープまでご相談くださいませ。

 

執筆者プロフィール

堀 貴史 リープ株式会社代表取締役・パフォーマンスアナリスト
一般財団法人生涯学習開発財団 認定コーチ、認定アクションラーニングコーチ、
CompTIA CTT+ Classroom Trainer、CompTIA Project+、創造技術修士(専門職)
パンダやクマ、甘いものが大好きです。みんなに健康を心配されていますが、、、元気です!

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