【リープの事例紹介】学習目標を自分でブラッシュアップしてみたら

パフォーマンス評価・設計, 教育設計, 教育評価, 評価基準

私たちのチームでは、入社から日の浅いメンバー(私もそのひとりです)でスキルアップの取り組みを行っているのですが、最近「プレゼンテーションスキル」について、新たなお題が与えられました。
「ルーブリックの解説」をテーマとしたプレゼンテーションスキルの強化です。

私たちに示された学習目標は次の通りでした。

学習目標:「お客様に対してルーブリックの解説ができる」
【補足事項】
A) リープ社員の中で使用されている「社内プレゼントレーニング用ルーブリック」(6段階評価)で、全項目において及第点の3点以上を獲得すること
B) プレゼン用のスライドは共通のものを使用すること
なお、スライドは付け加えたり順番を入れ替えたりしてもよい

実際にプレゼンを行って学習目標を達成できているかどうかを「社内プレゼントレーニング用ルーブリック」で上司に評価してもらい、見事合格をもらえたら、今回のお題でのスキルアップ完了!となります。

ルーブリックについてはこちらの記事をご覧ください

このブログを読んでくださっている“学習者”の皆さんがもしこのスキルアップに取り組むとしたら、このあとどうされますか?

即刻、練習ですか?

上司や先輩など“指導者”の皆さんはいかがでしょうか?
部下の方をどのように支援されますか?

私は、早速練習を始めることにしたのですが……。

学習目標を紐解く

「ひとことで『ルーブリックが解説できるようになる』と言っても、何をどう練習していけばいいだろう?」

インストラクショナルデザイン(ID)では学習目標への道筋を構造化することが大切であったことを思い出し、学習目標をもう少し具体的に要素分解してみることにしました。

構造化に関連する記事のご参考記事
実務スキルってどうやったら最速で鍛えられますか?

使用するプレゼンスライドやプレゼンの話し方のスキル(デリバリースキル)などを参考に、3つの要素に分解できました。

しかしここでさらなる学びの展開があったのです!

学習目標をブラッシュアップする

先輩メンバーTさんによると

「この学習目標にはいくつかID的な改善点があるよ!」とのこと。

「……えっ、そうなの!?」

言われるまで気づくことが出来なかったのですが、Tさんからの以下のヒントをもとに、プレゼントレーニングの学習目標を自分でブラッシュアップしてみました。

【ヒント(着眼点)】は、ロバート・メーガーによる学習目標の明確化の3要素であると教えてもらいました。

この3要素を意識しながら今回のプレゼントレーニングの学習目標を改めて確認してみました。
まずは、学習目標が「01 目標行動」になっているかを確認しました。

「02 評価条件」「03 合格基準」については、【補足事項】が当てはまりそうです。

合格基準:補足事項A)
リープ社員の中で使用されている「社内プレゼントレーニング用ルーブリック」(6段階評価)で、全項目において及第点の3点以上を獲得すること

評価条件:補足事項B)
プレゼン用のスライドは共通のものを使用すること
なお、スライドは付け加えたり順番を入れ替えたりしてもよい

どうやら合格基準と評価条件はクリアのようです。

とすると……最大のカギとなりそうなのが「目標行動」です。
今回は、ここをブラッシュアップする必要がありそうです。

「お客さまに対してルーブリック解説ができる」という上の目標から伸びている、下の3つの小さな目標は、いずれも「理解することができる」「わかる」「発揮することができる」といったように、達成したかどうかの確かめ方が難しい表記になっています。

「できる」や「わかる」といった表現だと、人によって基準がバラバラで、達成したかどうかの判断も人それぞれ、ということになってしまいます。

そこで、これらの点を評価が可能になる行動に書き換えてみました。

◆下位目標①「ルーブリックの基礎を理解することができる」の目標行動化

まず、「理解することができる」を“行動”に置き換えてみると「ルーブリックの基礎を“説明できる”」と言い換えられそうです。さらに「ルーブリックの基礎」についてもより詳細に要素分解してみました。

  • ルーブリックはどんなツールか(教育分野における定義)について説明できる
  • ルーブリックの構成(課題・評価観点・評価尺度・評価基準)について説明できる
  • リープの「ディテーリングスキル・ルーブリック」の特徴について説明できる

◆下位目標②「ルーブリックの使い方がわかる」の目標行動化

こちらも、目標行動で書き換えてみます。「使い方がわかる」を行動に置きなおすと、次の二つが考えられました。

  1. ルーブリックを使うことができる
  2. ルーブリックの使い方を説明できる

今回はお客様への解説がゴールなので、2の「説明ができる」が適切だといえそうです。
そして、ここでも「ルーブリックの使い方」をもう少し紐解いてみます。

  • 「ディテーリングスキル・ルーブリックを使った評価」について、6段階の評価尺度の観点から、リープの評価スタイルを説明できる
  • ルーブリックを使うコツ(評価の際に意識すること・注意すること)を説明できる

◆下位目標③「プレゼンテーションのデリバリースキルを発揮することができる」の目標行動化

この目標については、「発揮する」という言葉が行動といえるかどうかあいまいなので、「プレゼンテーションのデリバリースキルを実行できる」としてみました。

では、「プレゼンテーションのデリバリースキル」とは?

  • 話したい内容に沿った資料を相手に提示することができる
  • 相手の反応を確認しながら話を進めることができる
  • 早口過ぎず、不自然な間を開けず、聞き手が聞きやすいテンポで話すことができる。

ここで、今までブラッシュアップしてきた学習目標を集約してみた結果、以下のようになりました。
これらのチェックポイントを満たすと、「お客さまに対してルーブリック解説ができる」状態に到達できる!と明確化できました。

まとめ

今回自分で学習目標をブラッシュアップしてみて、学習者の立場であっても、指導者の立場であっても「学習目標の明確化」を意識することは重要であると気づきました。

自分がなにかを学習するとき、ゴールが明らかであれば、クリアしなければならないステップも明らかになってきます。

また、もし自分が指導者の立場だったら?
と想像してみると、やはり学習目標やそこに至る道筋、構造(下位の学習目標)が明確であるほうが教えやすいだろうと思います。

目標に向かって頑張る育成対象者に効率よく学んで成長してもらうためにも、あいまいさを残さない目標提示をすることが重要だとあらためて気が付くことができました。

学習者の方も指導者の方も、この学習目標の明確化の観点をぜひ、ご自身や部下のスキルアップの一助にしていただけましたら幸いです。

*リープでは以下のようなご興味やお悩みをお持ちの方、企業様のご支援をさせていただいております*
・今回の記事でご紹介した「学習目標」について、どのように明確化すればよいのかお困りの方
・パフォーマンスの評価指標である「ルーブリック」について知りたい方

ご興味のある方、詳しく話を聞いてみたい方は、下記のボタンよりぜひお気軽にお問い合わせください。

お問合せはこちらから

関連記事一覧