あなたの話は本当に伝わっていますか?デリバリースキルを鍛える~ボーカルスキル編~
インストラクショナルデザインで効果的・効率的・魅力的な教え方をお伝えしている弊社ですが、「デリバリースキル」にも力を入れています。
何故なら、教える内容がどれほどよかったとしても、相手に伝わらなければ何の意味もないからです・・・!!
オンラインでの会議やトレーニングも当たり前になってきた昨今ですが、「なんだか、うまく伝わらないなぁ」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?
もしかしたら、その原因はあなたの「デリバリースキル」にあるかもしれません。
「オンライン」が当たり前になってきた今だからこそ、あらためて、オンライン環境下における、「デリバリースキル」を再度意識してみませんか?
デリバリースキルってなに??
「デリバリースキル」って具体的には何のこと?と思われた方もいらっしゃると思います。
デリバリースキルとはプレゼンテーションなどの場面における話すスキルのことで、リープでは、デリバリースキルを評価する際の観点として、「ビジュアル(見た目)」「ボーカル(聞こえ方)」「ビヘイビア(振る舞い)」「バーバル(言い回しなど言葉に関する事)」の4種類に細分化しています。
さらに、デリバリースキルを鍛えるために、インストラクショナルデザインのモデルの一つ『ガニェの学習成果の5分類』で整理をしてみると次のようになります。
ガニェの学習効果の5分類の参考記事:実務スキルってどうやったら最速で鍛えられますか?
デリバリースキルと学習成果の質
「話すこと」を漠然と、やみくもに練習するのではなく、そのスキルの質を見極めて、スキルごとに適した練習をすることで効果的・効率的なスキルアップにつながります。
今回は、デリバリーの4種のスキルのうち、「ボーカルスキル」の鍛え方についてご紹介したいと思います。
ボーカルスキルってなに? 運動技能の鍛え方は??
本記事でご紹介する「ボーカルスキル」とは、
相手に伝える・意思疎通をするための声の出し方のスキルを指します。
「筋肉を使って体を動かす/コントロールする」性質のスキルですので、学習成果の5分類の“運動技能”にあたります。
運動技能を鍛える際には、以下のようなポイントがあります。
運動技能の評価のポイント
- 実演させる(やり方の知識と実現する力は違う)
- チェックリストを活用し、正確さ、速さ、スムーズさを確認する
例)オンライン会議ツール(Zoomなど)上でプレゼンテーションを実践させ、以下のようなチェック観点で達成度をチェックする
<明瞭さ・流暢さ>発話内容(単語や語尾)が問題なく聞き取れる
<声の大きさ>声の大きさが、大きすぎず小さすぎない
(デバイスの最大音量の1/3程度の音量で問題なく聞き取れる*)
<話すスピード>800文字程度の原稿を2分半~3分以内で話している
*音量は使用するデバイスやアプリケーションの設定により異なりますので、目安の値は環境に合わせてご設定ください
運動技能の指導方略のポイント
- 理想的な運動の実演(動画を含む)を見せる
- 実演を見せたあと実際に実行させる
※適宜補助し、段階的に補助を少なくする - 全手順が実行できたら練習を重ねスピードや正確さ、タイミングを磨かせる
例)自分でボーカルスキルを練習する際の工夫
アナウンサーが話している場面の動画を見る
実際に自分の声を録音/録画し、発声やスピードなどを確認する
録音/録画を同僚などにも確認してもらい、フィードバックをもらう
それでは、運動技能の学び方を確認できたところで、実際に発声の練習をしてみましょう!
① 母音を意識した「口の開き方」のトレーニング
こちらは、明瞭かつ流暢な話し方に有効なトレーニングです
あなたは、普段「あいうえお」を意識して発声していますか?
母音を正しく発音することで、はっきりと明瞭に声を相手に言葉を伝えることが出来ます。
それでは、「あいうえお」を発生する際の、正しい口の開け方を確認してみましょう。
それでは、手鏡などで自分の口元を映しながら、「あいうえお」を発声してみましょう。
あなたの口の動かし方は、この動画中のイラストと同じようになっていましたか?
私の場合は、口を横に開くことはしていても、なかなか縦に開いていないことが分かりました。
ご自身の口の開き方の癖が分かったら、ぜひ動画中のイラストと同じになるように、意識して口を開いてみましょう!
② 腹式呼吸のトレーニング
こちらは、適切な声の大きさで発声できるようになるために有効な呼吸のトレーニングです。
口の開き方が正しくできたら、たっぷりの空気を吸い込んで、適切な声量で発声することにチャレンジしていきましょう。
つまり、「呼吸」の練習をしていきます。
呼吸には、大きく「腹式呼吸」と「胸式呼吸」があります。
普段の会話だと「胸式呼吸」で行われていることが多いと思います。
しかし、しっかり相手に声を届けたい場合には、「腹式呼吸」をお勧めします。
腹式呼吸は、胸式呼吸に比べてたくさんの空気を取り込み、吐き出すことができますので、その分声量も大きくなります。
また、腹式呼吸を繰り返すことで、副交感神経が優位となり、リラックスして話が出来るようにもなります。
相手に伝わる声量で話せて、話をする自分もリラックスできる腹式呼吸、ぜひ体得していきましょう。
① まずは、お腹の中の空気を『フーーーー』っと口から全部吐き切りましょう。
② 次に、お腹を膨らますようにたくさんの息を鼻から吸い込みましょう。
これを繰り返すのが腹式呼吸です。
自分のお腹を触りながら、お腹がへこんだり膨らんだりしているか確認をしましょう。
もし、なかなかできない場合は、仰向けになってやってみると感覚をつかみやすいので、チャレンジしてみてくださいね。
③ 発声トレーニング(レベル別)
こちらは、適切な発声とスピードに有効なトレーニングです。
母音の口の開き方と腹式呼吸はうまくできるようになりましたか?
次は、発声の練習をしてみましょう。
今回は2段階にレベルを分けています。
まずは、「あえいうえおあお・・・」と発声を繰り返して、「ベーシックレベル」をクリアしてみましょう。
①で練習した「あいうえおの正しい発音」に加え、適切なスピードで話す練習をしていきます。
「ベーシックレベル」をクリアしたら、「アドバンスレベル」に進みましょう。
アドバンスレベルに行けたら、早口言葉の練習をしてみましょう!
適切なスピードで、噛まずに発声できるように何度も練習をしましょう。
ベーシックレベル
先ほどの①の口の開き方と、②の腹式呼吸も使いながら、あいうえおの発声練習をしてみましょう。
さぁ、ご一緒に!
一つ一つ丁寧に発声していきましょう。
アドバンスレベル
ベーシックレベルの練習ができて、発声に慣れてきたら、早口言葉で、口をしっかりと動かす練習をしてみましょう!噛まずに最後まで発声することが出来ますか?
かえるひょこひょこ みひょこひょこひょこ しひょこ ごひょこ むひょこひょこななひょこ やひょこ くひょこ とひょこ
(かえるひょこひょこ 三ひょこひょこ 四ひょこ 五ひょこ 六ひょこひょこ 七ひょこ 八ひょこ 九ひょこ 十ひょこ)
おあややおやにあやまり おあややおゆやにいくとやおやにおいい おおざらのうえにおおよもぎもち こざらのうえにこよもぎもち
(お綾や親に謝り、お綾やお湯屋に行くと八百屋にお言い、大皿の上に大ヨモギ餅、小皿の上に小ヨモギ餅)
早口言葉はweb検索をすると楽しいものがたくさん見つかるので、楽しんで練習してみましょう!
④ 本番前の短時間トレーニング
こちらは、適切な声の大きさで明瞭かつ流暢に話すために有効な、短時間で効果を発揮するトレーニングです。
オンライン会議や研修前に、もし発声練習が許す状況であれば「ドーレーミーファーソー」と言ったあとに、オンライン会議や研修で第一声として発声するであろう「挨拶」を練習してみましょう。
「ソ」あるいは「ラ」くらいの音程で挨拶をすると、明るく明瞭に聞こえます。
発声する時のコツですが、挨拶の後に ♪ と音符があるような状態をイメージして発声してみてください。
ドーレーミーファーソー「おはようございます(♪)」
ドーレーミーファーソー「おつかれさまです(♪)」
ドーレーミーファーソー「こんにちは(♪)」
いかがでしょうか?
いつもより、さわやかに挨拶が言えたのではないでしょうか?
是非試していただき、オンライン会議や研修を雰囲気よく、自信をもってスタートしてくださいね。
客観的な評価を大切に
いかがでしたか?
ボーカルスキルは、運動技能。
運動技能は練習すれば身につく技能ですが、やみくもな練習はNGです!
ぜひ、運動技能のポイントを意識していただきながら、トレーニングを継続していただき、しっかり体に覚えさせてくださいね。
今回の記事では、ボーカルスキル向上のヒントを少しだけお伝えさせていただきました。
実際にやってみていかがでしたか?
いくら自分でトレーニングをしても、実際にどのように伝わっているのかはわからないため、客観的な評価が大切になります。
リープでは、ブログ中でご紹介したように、ボーカルスキルを含めた「デリバリースキル」の評価やトレーニングもしておりますので、ご要望があればお気軽にお知らせください。
オンラインデリバリースキルの評価、トレーニングはリープまでお気軽にお問い合わせください。
リープは全力で、企業の教育設計を応援している会社です。
お問合せはお気軽にどうぞ