伝えたいことから研修づくりしてませんか?
私はもともと、弊社のコアサービスである教育工学分野とはまったく無縁の業界から転職してきました。
リープでは営業およびトレーニング作成に携わっており大変充実した業務を行っているのですが、入社してすぐの頃、お客様の問い合わせに
対応しながらトレーニングコンテンツを作っていく中で、その作成プロセスにはある共通点があることに気づきました。
それは、研修を考えるときは、まず評価方法を決めることから行っていることです。
評価方法→研修内容の順番で考える
トレーニング作成に携わる前は、研修等のサービスを提供する際、内容・日程を設定し、
「どんなワークをするのか」「どうやって場を盛り上げるか」といったテクニックが重要なのではと考えていました。
しかし、入社時の社内研修で、インストラクショナルデザインに基づく教育設計では、学習目標や評価の設定からスタートすることを学び、
私が想像したアプローチ方法と全く違っていたため、まさしく目から鱗でした。
⋙インストラクショナルデザインとは?
皆様の中にも、過去の私と同様に、教えたいことを軸に「何を教えるか」「どうやって教えるか」という研修内容や手法ばかりに目がいってしまい、評価を後回しにしてしまっている方がいらっしゃるかもしれません。
評価から研修やトレーニングを設計することの重要性を理解し、意識しているつもりでも、すっぽりと抜けてしまいやすい項目だと感じています。
ですので今回は、研修を考えるときは、まず評価からはじめることの重要性について、弊社の事例も交えながら紹介させて頂きます!!
「WEB商談スキルに不安があるんですよ」「ルーブリック作りから始めましょう!」
私は営業および動画研修コンテンツ作成や対面での研修を担当しています。
最近はWEB商談スキル育成に関するお問い合わせをいくつかいただき、実際に育成のためのコンテンツを作成しているのですが、
弊社の研修設計チームがまず初めにしたことは、WEB商談スキルの評価指標(ルーブリック)の作成です。⋙ルーブリックとは?
オンライン商談における振る舞いやツールの使い方などから、業種や企業に合わせて身に付けるべきスキルを抽出し、
“WEB商談スキルルーブリック”を作成しました。まず評価指標(テスト)を作成することが、効果的・効率的な学びに必要だからです。
そして、作成した評価指標(テスト)をもとに、研修を作成しています。
参考:成果につながる人材育成システム「スキル評価」
参考:パフォーマンスの状態を可視化できる評価指標「ルーブリック」
なぜ評価から始めるべきか?評価を考えることで学習目標がクリアになる
研修設計を行う際は、つい伝えたい内容から考えはじめて研修のGOALや評価方法が後回しになりがちですが、インストラクショナルデザインでは、研修受講者の知識やスキルが到達すべきレベルに達したかどうかを重要視します。
そのために最も大切なのが「学習目標」(学習の終了時点で受講者が達成しているべき学習の到達度)なのですが、学習目標は次の通り、評価(テスト)と表裏一体です!
学習目標(出口)がどこにあるのかは、どのようなテストにどの程度の点数をとることなのか、という評価方法によって共有されるのが一番良い。修了テストの内容を予め示すことは抵抗があるかもしれないが、それができないということは何かがおかしい。受験者にとって、驚きのない修了テストであり、研修で培った実力を思う存分に発揮して合格してもらおう。
出典:消防研修(特集:教育・研修技法)第84号(2008年9月)52-68
先ほどのWEB商談スキルルーブリックの事例でいうと、WEB商談1つをとっても関連するスキルは様々な項目があります。
● ツールの使い方
● 身振り手振り
● 話す態度
● 対話の進め方 etc・・・
すべての項目を研修に盛り込みたいところですが、学習目標がぼやけてしまい、何がしたい研修なのかわからなくなってしまいます。
一方、ルーブリック作成を通して、学習目標に立ち返りながら考えると、何ができるようになるべきかの優先順位が整理され、必要な項目の取捨選択ができます。
実際に今は“教育内容”にあたる教材(eラーニング用の動画やスライド資料など)を作成していますが、ルーブリックがあることで教材についても何を用意すべきか、どんな内容にすべきかが判断しやすくて、教材が作りやすいです。
つまり、評価設計を行うことで学習目標が明確になりますし、はじめに評価を行うことで「評価の結果、〇〇に課題があるから、××に関する研修を設計しよう」というように、適切な教育内容の設定が可能になります。
効率的な研修を実現するためにもまず、評価を行うことが大切になります!
評価スタートで、効率的な研修を
研修設計を行う際、評価が大切と思いながらも、教えたいことが次から次に浮かんでしまい、ついつい研修の内容ばかり考えてしまうと思います。
その気持ちはよくわかるのですが、グッとこらえて頂いて、まず学習目標と評価指標を考えるところから研修設計をしてみましょう。
効率的な研修を実現することが出来ますよ!