上手く行かないグループワーク。目的を盛り込み過ぎてませんか?

パフォーマンス評価・設計, 人材育成, 戦略立案, 教育設計, 研修効果

対面ではなく、オンライン環境でのトレーニングがスタンダードになりつつある昨今。

オンライン環境は対面と異なり、意思疎通が行き届きにくい部分があるため、グループワークにもより一層工夫が必要となっております。
ご参考:事例解説“イケてる”オンライン研修を学習者分析で紐解く!

そのような中、私が参加したことのあるグループワークでは「うーん。あまり議論が活発じゃないな……」と感じたり、「思った以上にいい結果になったな!!」であったりと、ワークの結果に差を感じることもしばしば。

「一体、何が違うんだろうか」

そんなもやもやの状態で、大学院のインストラクショナルデザイン(ID)公開講座にてグループワークについて勉強させていただいた所、目からウロコの内容を学ぶことが出来ました。

なんと、グループワークの目的は……2つしか無いとのことです!

公開講座を学ぶまでは、グループワークの目的を「知識を確認して、議論の活発さを見て、ロールプレイをしてもらって、課題に対する答えの精度を確認して……」などと、多くのことを盛り込んでワークを設計しておりました。
ご参考:社員の育成の「効率的」な設計方法とは?

参加して良かったグループワークを振り返ってみると「確かに、結果につながったワークはこの2つの目的が意識されている!」と感じましたので、本日はその2つの目的についてご紹介させて頂きます!

目的その1! 個人の成果物の質を高めること

グループワークの目的その1は、「個人の成果物の質を高めること」です。
これは、受講者一人ひとりが抱える課題や命題に対し、グループワークを通してフィードバックやアドバイスをもらいます。
多種多様な意見を複数人よりもらうことで、個々人の成果物の質を向上させることができます。
そのため、同じ部署や組織の人間でグループワークを行うのではなく、多様な考え方を持った人(異なる業界の方や業種・組織)でチームを設定すると、さらに効果的なグループワークとなります。

グループワークの事例
受講者:企業の研修担当者や、病院の人材育成担当者、学校の教員など、さまざまな業界の教育に関わる方々が対象。
ワークの内容:現状抱えているトレーニング・研修に関する問題に対し、事前に自分なりの回答を準備してもらい、グループで個人ごとに発表。その後フィードバックをもらい改善を行う。次に、改善を反映させて、一回目とは異なるグループで同様のディスカッションを行う。
結果:相当数のフィードバックをもらうことで、個々人の課題改善方法が明確となり、研修後のネクストアクションを整理することが出来た。

様々な目的を盛り込むのではなく、個人の成果物にフォーカスしてグループワークを設計することで、効率の良いトレーニングにつなげることができます。

目的その2! グループワークをできるようにすること

グループワークの目的その2は、「グループワークをできるようにすること」です。
「一体何を言ってるんだ……」と思われるかもしれませんが、グループワークをできるようにする=「グループワークがうまくなる」とはつまり、
① 意見を発することができる
② 意見をまとめることができる
③ 質問を他者から引き出すことができる
など、さまざまなスキルの向上が期待できます。
このためには、グループが1つの課題に対して、協力しながら取り組むことが必要となります。
またグループの全員が、ファシリテーターやタイムキーパー・書記など何かしらの役割に当たっていなければ議論が活発にならず、ワークの効果が薄まってしまいます。
ですので、4人1組など、少人数によるグループワークを設計することがおすすめです。

グループワークの事例
受講者:同じ組織の営業マンが対象
ワークの内容:前提条件を伝えた上で、全グループ共通の課題として、【攻略難易度の高い顧客に対するネクストアクションを3つ決める】を設定。4人1組で、全員に何かしらの役割を与え、役割のない人間を作らないようにする。
結果:全員が役割を全うすることで、課題に対する答えを導き出すことが出来た。また、ワークを通して、自ら意見を発し、他者の意見をまとめるなど、議論を行うスキルの向上も確認できた。

受講者全員に関連する共通の課題を設定し、役割を与えながらワークを行うことで、効率よくファシリテーションスキルや、議論のスキルを向上させることができます。

個の課題解決または、グループのスキル向上にフォーカスする

グループワークを設計する上でアレやコレやを目的に加えるのではなく、たった2つのことを意識するだけで、効果的かつ効率の良いワークを実現できます。
また、シンプルに2つの中から目的を設定すると、研修で学んでほしいことが明確になりますし、何より受講者は意図を明確に理解することが出来ます。

皆様もぜひ、この考えを取り入れて、効果的・効率的なグループワークを設計してみて下さい!

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